ZINEがとてもつくりたい

たとえお粗末な装丁でも、えもいえない魅力を放つプロダクトとして出会うことがあるのがZINEだ。

「本」というパッケージはなんて自由なんだろうと思わずにはいられない。

10代の頃、漫画同人誌や機関誌を作っていた。

同人誌の内容は版権モノの4コマギャグ漫画で、いわゆる濡れ場を描く画力も勇気もなく、20歳になったことを機に同人誌活動を辞めた。

デザインを勉強しはじめ、デザイナーになりたいと思ったきっかけは、学校の部活で作っていた校内新聞や機関誌制作だった。
他のメンバーが作ったものの魅力をもっと引き出すことは、16歳の私にとってとてもとても新鮮な喜びだった。

デザインスクールに入って、祖父江慎さんに憧れたこともあった。
装丁や雑誌の紙面デザイン、なにがしが「本づくり」仕事にかかわりたかった。

しかし自分が思っているほど意思は強くなかった。
「本づくり」とどう関わっていくかを、言語化どころか具体化もできていなかった。

結局Web制作という別の道にいった。
グラフィックデザイナーがWebサイト制作を依頼されるということが平気であった時代のお調べ屋になった。何年か働いて、潰れた。

考えてみると、守るべきルールや正解が「ないようである」ということにひどいストレスを感じる自分に、サイトの構築や実装、ディレクションはまったくあわなかった。「Webは制約がある」と考えてしまうところも。

そこで、恋しくなるのが、紙媒体でもある「本」の自由さだった。

描いたドローイングや、とりとめもなく書いた詩をコピーして、まとめてぱちんとホッチキスで止めただけでも愛おしさがわく。

漫画同人誌を制作していた時「同人は自分がおもろい・すきと思うから同人やねん」という金言を頂いた。

ZINEだってそうなのだ。
作ってる自分がおもろい・すてきだ・すきと思うものを作るのだ。
その気になれば編集する必要だってないのだ。

(もちろん、編集が入ることによって、更にクオリティの高いものができるということは知っている)

たぶん今やりたいのは、「本造り」ではなくて、「本」というパッケージをつかった表現なのだ。

(あたりまえだけど、読んでもらえないと意味がないので、そのあたりのコンセプトは考えたほうがいいが)

「本」は誰かのところに比較的かんたんに届けられる。「ああ、本だね」と安心してもらえる。

ZINEを一冊作るのを2021年の目標にしようかな。
造り手の作品に対する愛おしさを誰かと共有できるようなZINEが理想。


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