夏が帰ってきたら②
昔から、四季の中で一番好きな季節といえば夏だった。
過去形になってしまうのは、茹で上がってしまうような2023年の夏はもう僕が知っている夏ではないような気がしてしまうからだ。
四季は日本が誇るべき財産ともいえるものだと思っているし、住んでいるからには季節ごとの風情をなるべく肌で感じて過ごしていきたいと思う。
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夏は小さいころから、1年で特に想い出深い日々だった。
部活漬けの毎日、じいちゃんやばぁちゃんに帰る里帰り、勇気を出してあの子を誘った花火大会、勉強が嫌になって抜け出した塾。
大人になった今でも、夏の匂いが近づいてくると今年はどんな青春を過ごせるのかと大した予定もないのに心が浮ついてしまう。
気温が高くなるにつれて、僕の気持ちも比例するように気分が上がるのは学生時代の名残がまだ残っているからなんだと思う。
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今日は、何年ぶりかのプールに行った。
体力落ちすぎていて、100mを10セットもこなしていた自分が羨ましくなった。
小学校の頃は、6年間スイミングスクールに毎週かかさず通ってクロールやバタフライ、平泳ぎなど身につけたり、自慢じゃないが特進クラスにも行っていたものだ。
そうして身につけたものを不思議と体は覚えている。
記憶は年々インクが落ちていくように薄くなっていくのになぁって、水面でゆらゆらゆれている自分の手や足をぼんやり眺めていた。
「新しい体験すると新しい自分に出会えたり、発見がある」。
そういうこと、最近なんだかやめていたなぁ。
なんだか昔は〜みたいな話も増えてきてしまっている気がするから、
2023年の夏は新しい体験をしようと思う。
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