見出し画像

『儀式部屋』での『装置様』との出会い、そして腹巻

こんな一人語りなものをご覧いただき、ありがとうございます。

がん関連のこういうブログのようなものは、更新を滞らせると


「なにかあったか?」


と余計な心配をされるため、なるべく間をおかず…と思っていました。

なのに、全くネタ切れ(思い出せない)&忙しくてそれどころじゃなく、更新できませんでした。


自分も昔、同じ乳がん患者の方のブログを読み漁っていて、滞ったり、また家族の方からのその後の報告をする書き込みを見ては、凹んだりしていました。


なので、そういう気持ちにならないよう、ほどほどにしていました。
そして、そういう気持ちにさせないよう、気を付けていたのに(でもどれくらいの人に読んでもらっているんだか、苦笑)。


もし今これを読んでいる方で、もし心が凹むことがあったら、ぜひPCやスマホを置いて、楽しいことをしてくださいね!
それがすべてではありません。

閑話休題。

さて、いよいよ秘密結社のご本尊(?)との対面です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


放射線治療がいよいよ始まった。


放射線科の治療を受ける場所は、手術を受けた病院地下1階。

受付・待合を抜けて、治療を受けるために着替えるロッカールーム。
そのロッカールームの奥のさらに奥には、


どう考えても「儀式」中には勝手には開くことのできない扉


みたいな感じのものが鎮座(当たり前か)。


その中に入ると、でかい機械が置いてあり、それが放射線治療装置だ。


儀式部屋はツンドラのように凍てつく寒さ。


あれだ、MRI部屋と同じく「機械がシャットダウンしないためのクーリング」のためであって、治療をする人間のためのクーラーではない。



『装置様』がご機嫌を保つためだ。



我々、儀式を受けるものが寒いなどと言ってはならない。
文句をいうことなかれ。


さて、『儀式』もとい治療は、やれ倦怠感だのなんだの、結構脅されて、どんなもんかと思っていた。


が、始まったら淡々と毎朝こなせたことに驚いた。


毎朝、朝ドラ(当時はじぇじぇじぇ的なやつ)を見てから家を出ると、ちょうどいい時間だった。

今でいうところのモーニング・ルーティーンだが、我が人生に朝の連続テレビ小説が入り込むとは、後にも先にもこの時しかなかった。


多少は体のだるさを感じたものの、普段から自称「不定愁訴のデパート」なため、あまり通常と変わらない、ともいえる(うれしくない)。

『儀式部屋』は寒いので、必ず腹巻が欠かせなかった。


9月頭から始めたので、まだ残暑がきびしく、困ったのは「秘密結社の誓いの印」。。。


まあ、夏の終わり(©︎森山直太朗)とはいえ、暑い盛りなのでとにかく消える。


毎度「医療用油性ペン」なるもの(医療用っつーんだからそうなんだと思うんだが、どうもいまだ信じられん)でなぞってもらいながら、消さないように、誓いを忘れないように(違う)かなり気を付けた。



けれど、とうとうある週末、本当に大事に消えないようにしていたけれど消え去った。



シルバーウィークの連休で放射線治療もなくて、でも、消えないように気を付けたんだよ。


でもすべて消去。


あんだけ消えないようにしてねって言ったのに…という技師さんたちの目線が痛い中、レントゲンを撮影し、また「医療用油性ペン」で「誓いの印」を書いてもらったのは、カノッサの屈辱ならぬ加納さんの屈辱でもなく、まさに屈辱。


『装置様』の怒りに触れて抹殺されてもおかしくなかったが、この辱めで許されただけマシか。



てか、どうすりゃ消えないで済むんだよこれ。
マジで季節を間違えた(つーかそういうスケジュールだからしかたない)。


『装置様』は、1度だけご機嫌を損ねてシャットダウンしてしまい、朝のルーティーンができなくなったことがあった。


病院に行ったらめちゃくちゃばったばた。
どうしたのかと受付の人に聞いたら、


「今日は機械の電源が落ちちゃって…復旧に数時間かかるので、すけっちさんすぐできないんで、でも今日の治療は今日やらなきゃなんで、あとで来院できますかねええええええ?」


と、半泣き状態で答えが返ってきた。
あとでって、いつ?
そしていつまでOK?
とかいろいろ確認して、仕事が終わったあとに来院することに。


まー、みなさん大変ですこと…。
老若男女(若は、まああんまりいないけど)フロアにごったがえし、順番に患者さん全員に当日の都合を聞いて、「じゃあ××さんは何時ごろ」とアポを取っていくのを傍目にその場を一旦離れ、出社。


…考えてみれば、仕事休んで早めに行けばよかったものを、ワタシはなぜか18時頃、病院の受付も終わって暗くなってから再来した。
自分の業務時間もめっちゃ短くなったし、本当に返す返すも無駄だった気が…。
無理に真面目にせずサボればよかった。


もとい、そんなわけでナイトクルーズ・ナイトミュージアム、ならぬナイトホスピタル(楽しくなさそう)。
正面玄関は当然閉鎖。

あれー?どこから入るべき?とうろつき、仕方がないので救急入り口から入り「あのう、放射線治療に来たんですけど…」とおそるおそる声をかけると、


「ああすけっちさあああーん、お待ちしておりました~」


と、見慣れた放射線技師さんが声をかけてくれた。
聞けば私が今日最後の患者とのこと。


うえええええええ申し訳ない!!!!めっちゃ残業じゃん?!
無駄な残業させちゃってごめんね…というと「全然大丈夫ですご心配なく!こういうことたまにあるんで!!むしろ何度も来てくださってすみません!!!」と笑顔で返してくれた。


なんて優しいの。涙。


無事その日の治療を終え、「また明日!数時間後ですが!笑」と技師さんたちとお別れした。

大変だなあ。
マジで頭が下がる。


が、次の日2日分のお布施を支払わねばならず、ひっくり返ったのであった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


治療は毎日支払いだったので、地味に金欠で、そっちの方が辛かったです。苦笑。


そして、毎日のんちゃんの笑顔には本当に救われました。
けど、それ以降全くまた朝ドラを見ることはほぼなくて、一体どういうことだったのか、今でもワケワカメです。

クドカン脚本だから見ていたところもあるけど(ワタシはタイガー&ドラゴン推し)、あのドラマは本当に楽しく見れました。


あと、ピエール瀧、朝ドラに出られるなんて出世したなあ…と、世代ドンピシャ、10代のころから電グル好きだったワタシは感慨深かったものです。
(その後の顛末は、実は「やっぱりそうだよね、無理してたんだね」と、ちょっと切ない気持ちになりました。いまはご自身や卓球さんのSNSで笑顔の瀧さんを見てホッとしています)


※治療に関してはうる覚え過ぎる&ある程度の脚色が入っております。
素人の与太話ですので、あまり参考にせず、ご笑納ください。
また、何かご自身のお体にご不安がある場合は、専門の医療機関に問い合わせることを、強くおすすめします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?