無愛想ねこ

つい先日、18年連れ添った飼い猫が虹の橋を渡ったんですが、最期の最期まで無愛想でした。人に甘えることが苦手なのか、それとも人を見下していたのか(笑)、自分にもご飯以外ではニャーと鳴くことはありませんでした。
亡くなる1週間くらいは、脚の筋肉が急激に衰え、寝たきり状態になっていたので、それに伴う形で便秘気味にもなっていました。
おしっこもうんちも、衰えてしまった筋肉では踏ん張ることが出来ず、あちらこちらで漏らしてしまうことがあったので、ペットシートの上で日々過ごしていました。しかし、水はよく飲む子だったのでガブガブ飲んでましたね(笑)。飲んではおしっこをしての繰り返しで。
15歳辺りで腎臓が悪いと診断され、自宅で点滴を打つ毎日だったのですが、最近ではそれも生活の一部になっていたので苦ではなかったんです。ただ、注射を打たれて『ニャア!』と言われまくったのは少し自分の寿命が縮まってるんじゃないかなと思います。
猫の寿命は『15歳』だというのは知っていたので、それなりに覚悟はしていたのですが、まさか18年も生きてくれるなんて思ってなかったので、寝たきり状態になった時は一日でも長く生きて欲しいという思いだけで猫に向き合っていました。

自分は車の免許をめんどくさいの理由だけで取ってなかったんですけど、猫の腎臓が悪くなり病院にもよく行くことになってから、『車で行かなきゃ間に合わないもしもの事があったら、、』と思い、車の免許を早急に取りました。全て一発合格で、大学受験もこのくらい集中していればよかったんですが。
それから、飼い猫のために取った免許を片手に飼い猫の緊急事態で病院まで車を走らせることが何回かあり、しっかり免許を猫のために使っている。免許取っといて良かったと思うことがよくありましたね。

うちの猫は、よく動物番組で見るような『すごい技』を持ってることもなく、『特殊な寝方』をすることもなく、ただただ普通の猫だったのかもしれないけど、自分が出会ってきた猫の中で一番可愛かったし、毛並みもサラサラだった(猫を飼ってる人は皆そう言う)。
そりゃ我が子が一番に決まってますもんね。

17歳の中頃、そろそろかなぁ、、と何となく思い始めてから一日一枚写真を撮り始めました。アルバムにする訳でもないけど、色んな顔を撮っときたいなと思ったので。それから色んな顔を見せてくれる猫がスマホのカメラロールを埋めていった。埋まる度に被写体は猫に限るなぁと呟いてました。

脚が動かなくなって寝たきり状態になっても『岩合光昭の世界ネコ歩き』を見ていると頭だけテレビに向ける。小さい目でテレビに映る海外の猫を追いかけていた。何年か前はテレビ台に乗って猫パンチ食らわせていたんですけどね。多分この時間が、この世の中で一番幸せな空間だったのは間違いないなぁと。
猫が猫を見る、それだけで人間は癒される。

丁度、デザイン関係の勉強をしている最中だったので、横で寝ていた猫をスケッチしてみた。ササッと書いてみて分かったんだけど、意外とデカかった。
今までカラーの猫ばかり見ていたので、鉛筆で描かれたモノトーンの猫を見ると、これもまた味わい深くて最高だった。
プロではないから下手だけど、↓


そんなスケッチをした1時間後、急に容態が悪化した。口呼吸らしき仕草をしたので、これはまずいと思い、車を走らせた。あの時ばかりは法定速度を守らなかったかもしれない。1秒でも早く病院につきたかった。ごめんなさい。しかし、病院に着いた頃には心臓が止まっていた。最後の最後まで『ニャー』と助けを乞う鳴き声も出さず、ただただ頑張ってくれてたのかもしれない。言葉が通じないけど、この時ばかりは助けて!辛い!と一言、『ニャー』と鳴いて欲しかった。

そんなこんなで、あっという間に火葬の準備をすることになった。亡くなった猫は一日ほど(冷やすとちょっと延びる)しか体が持たないらしいので、諸々の行いが1週間程度で終わる。なので、動物の葬儀をしてくれる施設に預けてきた。18年生きてきて初めてどこかに預けたので、猫もビックリしたと思う。

火葬を終え、遺骨を持ち帰ってきた。
そういえば、遺骨を骨壷に入れる時、頭蓋骨を見たんだけど、その頭蓋骨すら可愛かったのは親バカだろうか。
1週間ほど安置室に預けていたため、家に1週間ぶりに帰ってきた。どんな形になったとしても、泣いても横にすら来てくれない無愛想な猫だったとしても、家に居てくれるとやはり安心する。

仏壇に置く写真を選ぶため、カメラロールを見返すと、正面の写真が全く無い。500枚程度あったが、ほぼ横顔か、どこかを向いている。そうだ。うちの猫、無愛想だったから正面の写真を撮らせてくれなかったんだった。ただ、寝ている時にひっそりと撮った真正面の写真があったのでそれを選んだ。猫は嫌がるかもしれないけど(笑)。
写真は部屋が一望できる隅に飾って、これからも無愛想に見守ってもらおうと思う。たまにはニャーって鳴いてもいいんだよと思ったけど、いきなりは怖いからやっぱやめてね。
自分から言えるのは毎日『可愛い 可愛い』と言ってると、頭蓋骨まで可愛くなるので是非毎日、猫ちゃんの顔を見て今日も可愛いねと言ってあげてください。

ちょっとした記録として書き残したかったので。
長文失礼しました。

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