(途中)政党・政治家から政策へ

COVID-19の情報収集にあたって、様々な立場、主義主張を見て感じたこと。

背景/思考・決断を放棄することの長所と短所

「思考」や「決断」を放棄すると楽。わかりやすい正解を「探す」だけでよい。時間は節約できるし、決断が間違っていたらその「正解」を主張していた人をたたけば良い。ついでに、TVの前に座って情報を待っていれば「探す」ことさえも放棄できる。

これは楽だ。仕事とか遊びとか他のことに時間を使える。

ただ良いことばかりではない。今回(COVID-19危機)のように、未知な事が多く、過去(SARS、新型インフル、季節性インフル、既知のコロナウイルス)の知見から導かれた楽観的な予測がことごとく覆っていく状況、簡単にいえば「正解がない」状況では、相反する情報・主張が錯綜する。それらに振り回されてしまう。ストレスになる。

このストレスから逃れる方法もある。誰か一人の声の大きな痛快なそれっぽいことをいっている人を「絶対神」とあがめてしまうこと。

ぼくはいずれに立場もとらない。自分で思考して決断したい。無責任な人の要請や意見に盲目的にしたがって後悔したくない。

思考するのは疲れる。情報の収集や選別も大変だ。たとえば専門家会議の会見は記事化されない有用な情報が盛りだくさんだったが、2時間集中して聞いて、要点を控えて、後から見返すのはとんでもなく疲れる。

それでも自分で思考・決断することは大きなメリットが有る。

自分で結論を出すと決めておけばすべての主張が有用な参考情報となる。

すると今回のような誰も正解を知らない場面でもストレスがない。(とはいえ、推論に使えないグダグダなデータはストレスになる…。情報開示だけはしっかり!)

例をあげると、たとえば「PCR検査拡大是非」議論。賛成・反対どちらの立場からの指摘ももっともだ。PCR検査拡大是非議論が、建設的な議論にならずに単なる罵り合いのようになってしまったのは日本人が議論慣れしていないのもあるとは思うけど、一番大きな原因は「自身が決断する立場にない」からだと思う。仮に自分が「PCR拡大是非を判断したり、判断材料を集める仕事」に従事していたら、すべての意見が有用と感じられるはずだ。

政党や政治家に投票する=思考・決断の放棄という考え方

この考え方(=思考や決断を放棄して正解を外部に求めることの弊害)を発展させると、政党や政治家に投票して終りとなる今の政治の仕組みは、思考や決断を彼らに委ねることと同義となる。

これが今回の危機において感じるストレスの根本的原因ではないだろうか?

PCR検査拡大是非議論に見受けられるように、罵り合い・分断を生んでいる原因ではないだろうか?

ぼくが興味あるのは政策であって、政党や政治家ではない。

2019年に国民民主党を離党していた桜井充氏が野党統一会派を退会して自民党会派入りという報道があり、Twitter上で支持者から怒りの声が上がっています。

このような理不尽がおきる原因は何でしょうか?
・政治家の資質でしょうか?
・支持者に政治家を見る目がなかったのでしょうか?
私は違うと思います。根本的な問題は、政策でなく政治家に投票しているという仕組みそのものにあると思います。

2020年6月18日追記。須藤元気氏(立憲→離党)、山尾志桜里氏(立憲→国民民主)の離党・党移籍についての賛否ツイートが多数見受けられました。
もちろんおっしゃるとおりだとは思いますが、こういった不毛な議論に費やす時間・エネルギーを「より良い政策の立案」に使いたいなぁと思ってしまいます。

政党・政治家から、政策へ

政党政治や今の選挙制度は、現在のように情報通信が発達していない時代につくられた仕組みです。以前は以下の制約がありました。

・情報共有に少なくない時間とコストを要する
・庶民が情報発信する手段はなかった

江戸時代。江戸と京都・大阪の通信手段は飛脚。速達でも3~4日。料金はなんと4両。(wikipediaより)
明治時代。イギリスの郵便制度に触発された前島密により全国一律料金での郵便制度が整えられました。料金は2銭と安価になりましたが時間は78時間要したようです。(その時歴史が動いた 誕生創業編(Amazon)より・他)

こういった「通信」上の制約は消滅しています。情報共有に要する時間はゼロになり、コストもごく小さい(通信費・情報機器だけ)。ぼくのような一般人がブログやTwitterを代表とするSNSで世界中に意見を表明できるようになった。

制約が変われば最適な打ち手が変わるのは当たりまえです。現代はもっと良い方法があります。あらゆる産業がインターネット・デジタル化の影響を受けてるのに、政治だけが変わらずにいられるでしょうか?

以下の自民党議員の投稿では「Twitterの多数が立法を決めるなら選挙をする必要がない」ことをネガティブに捉えています。私は利権第一の与党議員による「強弁や論理のすり替え」が横行して大臣が「忖度官僚の用意したペーパーを読み上げるだけ」で「議論が平行線をたどる国会」よりも「Twitterで議論を尽くして採決する」ほうが歓迎ですがみなさんはどうでしょうか?(もちろんブロックチェーン等により一人一票が担保(重複投票不可)されていて、セキュリティも万全~容易ではない~という前提です。)

当面目指すゴール

国民投票的な仕組みを憲法改正だけでなく賛否がわかれるすべての政策に拡大する。それが当面のゴールだと思う。

もちろん政策に通じる必要がある。そんな時間が一般人にとれるでしょうか?可能だと思います。ここで再びPCR拡大是非議論を思い出します。Twitterで議論を追跡して全体像を把握するのは大変ですが、以下のような情報がわかりやすく整理されていたらどうでしょうか?

テーマ・・・PCR検査拡大是非
制約・・・医療資源(ICU、人口呼吸器、医療従事者、マスク、防護着)、PCR検査の精度・体制、法律、予算、人材など
論点・・・
<<反対意見>>拡大すると市民が押しかけて待合室で感染が広がる。検体採取で医療従事者に、PCR検査は精度(偽陽性、偽陰性)が低いので意味がない、クラスタ追跡してれば大丈夫、軽症者を隔離させたら病床溢れて重症者が必要な治療を受けられない。
<<賛成意見>>全体を正しく把握できない。世界と比較検討できない。社会不安を惹起している。無症状感染者が多数でかつ感染力を持つのだからクラスタだけ追跡できるはずがない/感染拡大はとめられない。 ドライブスルーやウォークスルーの仕組み活用、民間の能力活用、法改正(軽症者は入院不要、初診からオンライン診療許可、など)。院内感染を引き起こす。

データ・論文・議事録・・・各種論点に紐づく、参考情報・データ、会見や質疑の全文書き起こし
主な誤報とそのオピニオンリーダ・・・例)韓国はPCR検査しすぎて医療崩壊(村中瑠璃子氏)、イタリアはPCR検査しすぎて医療崩壊(日経新聞)
風刺絵、風刺漫画・・・リベラル漫画家なすこさんのとか(もちろん有償)
オピニオンやキュレータ意見・・・有識者の意見
利害関係者/当事者の声・・・
意見・・・賛成、反対それぞれの理由 ー> 論点にフィードバック、ファクトチェック結果
評価・・・各意見・テーマ・論文について「いいね」。自動的に高評価が上位に
思考停止ワードの投稿不可・・・「バカ」「絶対」「ネトウヨ」「パヨク」といった思考停止ワードを含む意見は投稿できないように。

これなら、意見を表明したり、共感した意見に「いいね」するだけで良い案を導くことに貢献できます。1時間も読み込めばそのテーマについて「意思決定」できるようになるのではないでしょうか。

このような透明な議論・プロセスを通して決定される政策に、利権政治家や天下り先確保を狙う官僚が暗躍する余地はありません。当事者意識も高いので国民を分断するような残念な状況に陥るのも防げます。

ICTの専門家として、この仕組みづくりに貢献したいと思います。

各論点に対する意見を賛成・反対で分類して紐付ける理由

もちろん優劣や勝敗を決めるためではありません。目的は「論点や課題を明確にしてより良い第三案を導く」ことです。

表現を変えると、議論するときは目的を「勝ち負け」でなく「より良い第三案を導くため」であることを常に意識する必要があります。

ここは間違えると、罵り合いになり、市民の分断につながります。

市民の分断が政権維持に利用されている?

本稿の趣旨と外れますが「議論の目的を勝ち負けにすると市民の分断」

分断の例の代表格は「アベ信者」「アベガー」と称される人々です。

この人々は対極にあるように見えて「相手方へのリスペクトや対話が成り立たない」という観点では同種です。相手を批難することが目的化していて、政策は相手を批難するために利用する材料と扱われています。いつでも相手方に転向してもおかしくないと思っています。

そのような観点でそれぞれの主張を見ているとエンターテイメントとしてはおもしろいのですが、どうも楽しんでばかりはいられないようです。

官邸はこの分断をうまく利用して政権維持に利用(=盲目的に政権擁護してくれる人に報酬を提供して分断を深める)しているフシがあるからです。

安倍首相のおともだちである百田氏の発言であきらかになった「利益誘導」や「Lancers案件」と揶揄される不自然な政権擁護の一斉ツイートで、そのように思いました。

官邸はバカではありません。権謀術数については私達が足元のおよびないほど長けていると思います。上記のような明らかに「つっこみどころ満載」のツイートもわざとやってるとすら思えます。

以下のツイートの4枚目の画像はよく描けていると思います。この状態を「仕組まれている」のかもしれませんね。

アベガーの方々は「踊らされているのかも」という観点でこういった言説に出会ったときは、自分の反応を振り返ったほうがよいかもしれません。

最後に

第三案を導くための議論をしましょう。そうすれば賛成も反対も貴重な意見です。勝ち負けはありません。同じ目的を共有する仲間です。

どうせ悩むなら「すこしはましな政治家は誰か?政党はどこか?」でなく「どうすればこの課題を解決できるのか?社会がよくなるのか?」のほうがやりがいを感じませんか?



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