意見公募(パブリック・コメント)制度を通じて行う社会への参加
事の発端
現在、行政書士の資格を取るべく法律等の勉強をこつこつやっている。
そんな折、こんな話を目にした。
「行政書士試験の施行に関する定め」の改正に関する意見募集|e-Govパブリック・コメント ※2023/7/27 0:00まで受付
来年から試験が若干変わるかも?今年の試験で絶対に受からないと非常にまずすぎるので来年の試験のことはとても考えたくない、という個人的な事情はさておき、とはいえいろいろと思うところはあったので、せっかくなので意見公募してみることにした。
意見公募とは
パブリック・コメント制度のパブリックな説明は ↓ のリンクを。
パブリック・コメント制度について | e-Govパブリック・コメント
細かく話すときりがないので語弊を恐れず乱暴にいえば、お役所からこうしなさいよとのお達しだったり、お役所からお墨付きをもらったり逆にお墨付きを取り消したりするようなルールをつくるときは、広く意見を聞き入れるようにしなさいよということである。法律とは国における細かいルールのようなものであるが、そのルールの運用もまた法律というルールによって縛られているわけである。
下記のリンクから条文に飛べるが、これはこれでさまざまな法律や規則を検索してダウンロードすることが可能なので、そういうものがあるというのを知っておくだけでも非常に便利である。ちなみに日本には約2100ほどの法律が存在するそうだ。
行政手続法 | e-Gov法令検索
実際の意見公募手続き
実際に、冒頭のリンクを辿っていただければすぐにわかるが、
意見公募要項というpdfを開くと細かく注意点が記載されている。
意見公募要項のファイルを開き、確認しましたのチェックをいれないと意見公募のページへと遷移しないような仕組みがとられているようだ。
おおまかな注意点
字数制限がある。ただし案件によって最大字数が2000だったり6000だったり異なるようだが、それなりの分量で意見が書ける。
ただし1000字を超える場合は要旨を添付すること。
添付ファイルは不可。どうしても添付する必要がある場合は、
Eメール又は郵送で。締切日厳守(基本的に受付期間は意見公募開始から30日)
意見公募者の住所、氏名、連絡先などは任意
意見公募を行う際は、きちんと意見公募要項を読み、担当者の人に何が言いたいのか伝わるようにわかりやすく要旨をまとめて簡潔に書く、これを忘れないようにしたい。
意見公募を提出すると、受付番号みたいなものが発行され、控えボタンを押すと、意見公募本文のみならず意見公募者情報に任意に記載した項目含めて綺麗にまとまったものをpdfファイルで保管することができる。
意見公募案件一覧を紐解いてみる
下記のリンクからご確認いただきたい。
みていただければわかるが、ものすごく多数の意見公募案件が行われていることがわかる。本稿執筆時点の2023年7月10日時点で約3000もの意見公募が行われ、約11000の意見公募結果がアップされていた。あまりに多すぎるので、キーワード検索をかけたほうがよさそうだ。
というわけで、とりあえず私も大好きな「アニメ」で意見公募結果が公表されているものを検索してみたら、下記のようなものがみつかったので具体例として紹介してみる。
文化審議会「文化芸術推進基本計画(第2期)(中間報告)」に対する国民からの意見募集の結果について|e-Govパブリック・コメント
文化芸術に関する国の基本計画についての意見のようだ。リンクを辿っていただければおわかりいただけるが、意見公募の元となる資料も添付されているし、意見公募の数も結果として記録に残されている。その意見のすべてを結果報告に残すのは現実的でなく、似たような意見がかぶることもあるので、うまいことまとめられたものが主な意見の概要として記録に残る。
当然といえば当然だが、案件に関係のない意見や、何を言っているのかわからない要旨がつかめない意見はノーカウントとなるようなので、くれぐれも気を付けなければならない。
意見公募自体が終了しているので仮の話になるが、もし意見公募期間内に意見したとすれば、私ならアニメーション産業従事者の労働環境・賃金体系の底上げを提案していたか。日本の漫画・アニメは世界的に人気があるといえるが、産業構造として元請け下請けのピラミッド構造となっており、賃金体系に著しい問題があるとみえるため、その点の是正が必要なのではないか?といった具合である。意見公募をみてみると近そうな意見はあった。
最後に
「国は一体何をしているんだ?」「国は何もしていないのか?」とか安易に政治について批判をしたりする人がいる。政権運営の賛否についてはいろいろ意見があると思うし、私もいろいろと思うところはある。しかし、いわゆる役所である行政が何もしていないということはなく、実際にはみえてないだけで膨大な案件が良くも悪くも動いていたりする。ルール一つ変えるのにしたって、特定の人にはプラスになったとしてもその他大勢の人にとってはマイナスになりうることもあるし、もちろん逆もある。そのあたりを比較衡量するのは通常ものすごく時間がかかる。そして物事には優先順位というものもある。その結果後回しになってしまうものは当然生まれる。とはいえ自分に利害のある案件に物事が進展しなければそりゃまぁ機嫌が悪くなるのも無理はない。ただ、実際に世の中には自分がみえていない気づいていない物事が、あまりにも膨大にあるということは忘れないようにしたい。
SNSで広まるというのは、広く周知されるという意味では有用ではある。しかし、いくら大勢に広まったところで然るべきところに意見が入らないことには結局何も変わらない。あくまで意見なので必ずしも反映されるわけではないが、何も意見を言わないよりかはよっぽどマシである。とはいえ、皆忙しいので四六時中張り付いてみてみるのは現実的ではないのも道理である。
意見公募制度というものがあって、意外と簡単に意見をすることができるという点はもっと周知されてもよいのではないかと思う。ご丁寧に、各意見公募案のページにもFacebookとTwitterで広めやすいようにボタンがついているので、気になる意見公募を発見した際は、是非ツイートしてみるとよいかもしれない。
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