見出し画像

大学の研究室運営のノウハウが組織マネジメントの役に立つのでは!?

大学の研究室は企業組織と比べて大きく2つの点で異なり、これが役に立つのでは!?と思っています。

***

1つ目は目的です。企業組織の目的は利潤ですが、研究室の目的は研究成果です。(大学では教育も目的ですが2つ目でお話します。)

研究にはさまざまな分野がありますが、たとえば、ある不治の病に効く薬を作り出せば、だれもが研究成果と認めてくれるでしょう。それによって直接助かる人がいるわけですので。

たとえば新種の生き物の発見のようなものどうでしょうか?これも研究の成果と言えそうですが、そもそも研究って何なのでしょう???

研究とは一言でいうと「人類にとって新たな知識を得ること」です。極端な話、誰の役に立たなくてもよく好奇心さえ満たされればよいのです。

企業組織の目的は企業に利益をもたらすことです。どうやって利益を得るのかというと、人々が価値を感じる財やサービスを提供すればよいのです。

ここでポイントなのが、必ずしもお金を払ってくれる人に直接役にたたなくても、対価に見合った「価値」さえ感じてくれればよいのです。社会が豊かになり、人々が満たされるようになるにつれ、より形のないものに価値を感じる人が増えてきます。

研究室では「新たな知識」という、形のないものを日々生み出しています。しかも、知識というものは価値を測るのが難しく、将来的に大きな意味を持ってくるようなものもあります。数学や物理学などはその例でしょう。

ビジネスにおいても将来的に大きな価値を持つものに投資することは非常に重要です。研究室でのノウハウが生かせるはずです。

***

2つ目は、企業組織は従業員に働いてもらった対価を支払いますが、研究室では学生が大学に対して授業料を支払ってもらっているという大きな違いがあります。

この点はモチベーションに大きく関わってきます。企業の従業員にとってはパフォーマンスが賃金に影響してくるので、基本的にはお金がモチベーションになります。

学生は何をモチベーションにしているのでしょうか。一番大きいものは学位でしょう。特定の期間内に成果がでなければ卒業できず、余計に授業料を支払わないといけませんし、就職も遅くなります。

しかし、ある一定の働きをしさえすれば、それ以上は頑張る理由は無くなってしまいます。しかし研究室を運営する側からすれば、研究成果を挙げるために学生に協力してもらうことはとても重要で、もっと研究にコミットしてほしいと思っています。

昔であれば怖い教授が学生を働かせるということがありましたが、今はコンプライアンスの時代ですから、そんなことはできません。win-winでなければいけません。

学生に与えなければいけないのは「やりがい」と「成長感覚」です。この研究がどれだけ重要なのか、この研究によって学生自身が何を得ることができるのかを示すことが重要です。

企業でも最近の若者は昇進意欲が無いと言われますが、それはお金をかけなくても生活できたり、楽しむことができるような社会になってきたからで、昇進してより高い給料を得る必要が無くなったからです。

もちろん従業員に十分な給与を与えることは大前提ではあるのですが、それだけでなく「やりがい」や「成長感覚」を十分に与えなければ良い仕事をしてくれなくなっています。

***

大学の研究室運営ノウハウはどこかで学べるものでもなく、共有される機会がほとんどありません。研究室を運営している教授の試行錯誤に成り立っている部分が大きいです。

このような情報を公開することは同じように研究室を運営している方々に役に立つと思いますし、企業などの組織運営にも取り入れられることがありそうですので、記事にしていきたいと思います。

また、せっかくですので研究室運営以外にも、日々、サイエンティフィックな視点で考えたことで、論文にならないような話題についても触れていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?