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Photo by
kimonoseiryu
私を見てた空
学校からは電車で帰る。夕方の都会といえばもちろん、とんでもなく満員電車である。知らない人が顔の向きを変えるだけでいちいち髪の毛が顔にあたったり。おそらくお茶が漏れたであろう跡があるトートバッグが私の服に密着したり。ため息、舌打ちをしまくる人がいたり。
その日も例外なく満員であった。しかも遅延がプラスされいつも以上にすごい日。
憂鬱な気持ちになりながらも、できるだけ早く帰りたい。すみませんとお辞儀してなんとか最後に乗ることができた。
閉まった扉にぴったりくっつき、ただただ外を眺めていた。車内の湿気と熱気を感じながらも、心を落ち着かせ、早く着いてくれと願った。
駅を出発してだんだん建物が低くなり、視界が開けた。そこには空があったことに気づいた。青空に、ほんの少しの雲が茜色に染まって。
おそらくあの電車に乗っている人で、私以外にもあの空を見ていた人はいただろう。それでも、あの空は自分にしか見えていないんじゃないかと思うくらい、こちらをまっすぐ見つめ、すっと心に入ってきた。自分がそう思ったのならそれでいい。
また明日も頑張ってみようかな。
kimonoseiryuさん、素敵な写真お借りしました。ありがとうございます。
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