マガジンのカバー画像

ショートショートnote杯 応募作品

8
「#ショートショートnote杯」で、初めて小説のような何かを書きました。
運営しているクリエイター

#小説

たった410字以内! 誰もが気軽に応募できる小説コンテスト「ショートショートnote杯」を開催します!

ゲームで遊ぶことをきっかけに、新しい作家さんがこの世に誕生してほしい。そんな想いからプロジェクトメンバーみんなで開発したカードゲーム「ショートショートnote」が6月に発売され、多くの方に遊んでいただきました。 発売から3か月、いよいよ発売当初から計画していたnote上でのイベントが始まります。 商品の発売元「株式会社パートナーズ」主催、本ゲーム監修の田丸雅智さんを審査員長に迎えて開催する、note上でのショートショートコンテスト。 題して、「ショートショートnote杯

数学ギョウザ

母校の中学には、20分の朝自習の時間があった。 曜日に教科が割り振られ、配られるプリントをこなす。 例えば、国語なら漢字、理科なら元素記号など。 1年生の数学は例外で、月1回数学ギョウザという日があった。 廊下に出て、歩く・止まる・横になる・座るを繰り返しつつ、2桁の計算を解く。 私は数学ギョウザが縁で計算にハマり、時を経て公認会計士になった。 昨夕帰省し、中学の同窓会に顔を出した。 母校の教員となったアヤが、餃子を摘んで「数学ギョウザは健在だよ」と口にした。 ダ

しゃべるピアノ

私の父は家の一角で、革職人として財布等の小物店を構えている。 いっぽう私は、こんな風に認められても、発話がロクに出来なくて不登校になった14歳だ。 私の登校を両親が諦めてから、家の古ぼけたピアノで四六時中遊んでいる。 ヨルシカの曲を真似るうちに、自然に旋律が浮かび手が動くようになった。 いつしかピアノは、私の心に共鳴し、気持ちを代弁する存在になった。 父の店は、ある日を境に客が殺到するようになり、東京のメディアが取材に来たりもした。有名人が父の革財布が愛用品とSNSで公