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DX時代の経営スタイル

DXの本の執筆も佳境になり、KADOKAWA Connectedの経営も徐々に軌道に乗ってきた中、多くの方からオンラインプレゼンや、個別相談を受ける事が多くなり、DX時代の経営について多面的に考える事が多くなってきた。

その中で、新人であった「1993年から私が感じていた」人は財産であるという考えのベースに立ったDX時代の経営スタイルをまとめてみる。

上場企業は、直近の営業利益という短期的利益を追求する傾向がある。BSにはのらない人材の価値をIRに表現し、NPV(フリーキャッシュフローの総額の現在価値)をベースに会話をできる経営者は少ない。

何故NPVで語る事ができないか?それは、予想PLをストーリーベースで話す事ができないからである。そのストーリーはどこから来るのか?それはその経営者が考える企業のMissionからできあがるものであると、私は思う。

では、何故それができないのか?それは、多くの上場企業の社長がサラリーマン経営者であるが故にその会社のMissionを再定義することが難しいからである。加えて、DXやコロナによるPESTの変化によって、未来が見えにくくなっているのもその理由の1つであろう。もし創業者が実権を持っている社長などである場合は、決断次第で容易に行えるであろう。

さて話を戻すと、Missionの再定義をすると何がおこるのか?多くの場合は必要となる人材が変わると言うことである。ということは社内だけではなく、社会全体をひとつのチームと見た上でのリストラクチャリングが必要である。

ここで重要な事が顕在化する。今まで従業員に投資をしてこなかった企業はリストラクチャリングが上手くいかないと思う。何故ならば、その人材の価値がマーケット内での標準的ラインを下回り、新しい仕事を見つけることができないためである。

つまり、DX時代の経営とは、自社の立ち位置を少しずつ変えて行きながら、本質的なMissionをUpdateしていく必要があり、それに伴い必要となる人材が少しずつ変わって行くために、社内の人材流動性を高めると同時に、社外を含めた人材流動性を高める必要があるということだ。

それを実現する為には、従業員への投資を徹底的に行い、人の実力と会社の実力をマッチさせていくということがDX時代の経営スタイルになることは間違えない。

自社の成長を超えるスピードで成長をする人材を引き留めて置くことが出来ないというジレンマを抱えるだろう。そして、自社の成長スピードに追いつけない人材が出てくることもあるだろう。前者は、経営者として実力不足を反省し、経営者としてのレベルアップを心に決め変えていく。後者について心配される方もいると思うが、もし自社のスピードについて来れなくても、今まで良い仕事をしてきたため、転職マーケットに出たらすぐに仕事が見つかるという状況ができていると思う。

これを実現するためには、部課長の育成が重要である。何故ならば、社長が何と言おうとも、中間管理職がそれを実現できなければ意味がない。ある一定の規模の会社になると、DX時代の経営をするためには、中間管理職の実力がクリティカルになる。

従業員への投資とは何か?それは、適材適所の配置と適切なストレッチゴールの設定をし、そこに近づけてあげることである。体力や精神力、ソーシャルスタイルが異なる人であるが故に、人事が考える枠組みと、現場の課長がマネジメントをするソフト部分のインテグレーションが成功要因となるだろう。

それらを実現する為には、データドリブンな仕事の進め方が必須となるだろう。私がリードするKADOKAWA Connectedでは、全ての仕事をデータで支えるという仕事のスタイルを継続している。このやり方がおそらく多くの経営者が行いたい経営スタイルであろうと考えている。

今後は、Clouderaさんの基調講演、CIOイベントでの講演、DXの本の出版などを通じてその本質を皆様に伝えていきたい。

DXの本


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