DX型人材マネージメント

 マトリックス組織をつくり運用するために必要な二つ目の要素であるDX時代の人材マネージメントを記載する。そんなことわかっているよと言う人は多いが、実践しその形を回し続けている人が少ない為、どんなことが起きるかわからないというのが実情ではないかと思う。数年間行ってきた実践から、ここに重要な論点を記載したい。前回説明をしたように「実力型人材マネージメント」「People Portfolio Management」「ロールアサインリスト」これが重要である。

実力型人材マネージメント

 ストラテジスト、サービスオーナー、スクラムマスター、アーキテクト/コンサルタント、エンジニア、オペレータとクリアなロールを作り、そのロールをTakeすると、その権限・責任・報酬がもらえる。それを愚直に実践することが実力型人材マネージメントを実現する。もちろん、期初に設定するゴールも大切である。1.新しいサービスを作る、2.過去の負債を返却、3.オペレーショナルエクセレンス、4.ミスコミニュケーションを無くす、5.自己成長をする、という枠組を全社員で持つ。今後説明をするコミュニケーション改革を実践すると、誰が何をできているか、リモートワークであっても確認をできる。それは追って解説する。各ロールの定義、ゴール設定の方法については、所属企業の事を考え、この場で解説することを一旦控えようと思う。

参考 事業管理の簡単ロールの例

事業管理

People Portfolio Management

 縦軸を発散(創造)、収束(マネージメント)とし、横軸をアウトプットが多い(品質×量)、少ないとして、社員をマッピングする。このマッピングとロールが一致するため、誰が何に向いているかが一目瞭然になる。横軸であるアウトプットの多さは、仕事のアサインや自己成長で変える事ができる。一方で縦軸である、発散or収束はあまり変わらない。唯一変わる時は、一緒にいるチーム内で相対的に発散になったり、収束になったりする。つまり、仕事のアサインやチームのメンバーによって、社員のパフォーマンスがロールに対して変化するということである。これを意識してHRMを回している会社が少ない事が、日本人の生産性を高められない原因だと思う。

図1

ロールアサインリスト

 サービスチームを作る際に、サービス毎に実力型人材マネージメントのロールをアサインする必要がある。例えば、IaaSサービスのVMサービスを作ったとしよう。そのサービスには、サービスオーナー、アーキテクト、スクラムマスター、エンジニア、オペレーターがアサインされる。その人はどこの組織から来てもOKだし、1人で複数ロールを持ってもOK。また、1人で複数のサービスオーナーをしてもOKである。サービスの上位概念としてストラテジーというものをしっかり作っておく。例えば、VMサービスの上位概念は、クラウドサービスみたいにして、サービスオーナーをとりまとめるストラテジストを配置する。技術面で重要なNetworkは別ストラテジーとして切り離したりして、適切な技術戦略を作れるようにする工夫が必要である。このロールアサインリストを作る事により、どのような仕事があるのか、誰が何に責任を持っているか、どこにどのような人材が不足しているか一目でわかるようになる。これを作れるようになると、私のように社長をやっている人は、決断を素早くかつシャープにできるようになる。

 今回は3つの重要な論点を記載した。これらの仕組の詳細と日々の運用がDwangoが長年できなかったインフラ改革をわずが1年で目処をつけられた原動力になった。そして私が社長をするKADOKAWA Connectedの最大の価値で有り、KADOKAWAのDXの柱である。所属企業の価値の源泉を共有する是非を考え、今回のアウトプットはこれくらいにしておこうと思う。

次回はコミュニケーション改革を説明しようと思う。

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