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自爆

今日も自爆してしまった。君は少しやっかいそうに傷を負った私に手を差し伸べてきた。暖かい手だった。

一人でいる時間を苦痛に思ったことなんてない。でも、今の私は違う。君がいない時間が退屈でたまらない。だからずっとそばにいて欲しいと思ってしまう。君がバイトに行く午後4時が嫌いだ。君がバイトから帰ってくる午前0時が好きだ。君がバイト終わりに飲み会に行く午前1時が嫌いだ。君が飲み会から帰ってくる午前4時が好きだ。

私が行かないでと言ったところで君は行くのを辞めたりしないのだから私に残された選択肢は笑顔で「いってらっしゃい」と言うことだけなのだ。

結局は、自分の心に嘘をついて、その嘘に気づいてほしくて君に冷たくしてしまう。私は素直に好きと伝える余裕すらなくなってしまったのに、君は私に向かって好きだと伝えてくる。余裕のある君と余裕のない私。自分が情けなくて、申し訳なくて、でもやっぱり素直になれなくて。ごめんね。

君は私を傷つけるようなことはしていない。私が勝手に傷つくように受け取って自爆しているだけ。流れてくる涙は自業自得なのに被害者面をする。こんなにやっかいな女はいないだろう。それでも、「こっちにおいで」と君は大きくて暖かい手を今日も差し伸べてくれた。君の手が冷たくなる前に、はやく大人にならないと。




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