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経営指標 Part3~収益性・成長性の経営指標~

こんにちは。SKPです。
今回も引き続き経営指標のご紹介となります。

前回は銀行のスコアリングによく活用される経営指標の内、【安全性】を示す指標について記載しましたが、今回はその中の【収益性】・【成長性】を示す経営指標をご紹介します。

この【収益性】・【成長性】を示す経営指標は、ある意味「損益計算書」をそのまま見るようなものが多いので、他の指標よりもなじみやすいかもしれません。

経営指標:収益性

【収益性】という単語のまま、企業の「収益力」、つまり「どれだけ利益を生む力があるのか」を表した指標です。これらの指標の数値が良いと、それだけ「収益力が高い」と言えます。

1.当期純利益額・収益フロー

PL 当期純利益の金額

これは言葉のまま、「どれだけ利益が出てるの?」を確認するだけです。これを「経営指標」…と言ってしまうのは少しおかしいですが、やはり利益が出ているか・出ていないかは大切な判断材料です。

最終的な損益が「黒字なのか・赤字なのか」は収益性を見るにあたり「最も単純で、最も分かりやすい」部分になりますので、ここの部分は大切なファクターとなります。

『収益フロー』というのは「当期純利益を直近の数期分確認する」という意味です。多くの場合は直近の3期分となりますが「何期連続で黒字なの?」という点を確認します。

当然、黒字が続いている方が「収益が安定している」となりますので、スコア・評価が高くなります。

2.売上高経常利益率(%)

(PL 経常利益 ÷ PL 売上高)×100

売上高に占める経常利益の割合を表す指標です。『営業利益』や『当期純利益』で計算する指標もありますが、一般的には『経常利益』で計算するこの指標で収益性を判断します。

経常利益は『企業の一般的な経営活動で、経常的にもたらされる利益』を指します。収益力を見る場合は「営業活動以外の企業活動による損益は含め、臨時的な損益を除いて」見る方が適していますので、この経常利益を用います。

ですので、この指標は「その企業の標準的な収益力」を表していると言えます。

この数値が高くなれば、そのまま『収益性が高い』ということができます。と言っても、そこまで数値が高くなる指標ではありませんので、平均が4%前後、優良企業で10%前後となっています。

3.総資本経常利益率(%)

(PL 経常利益 ÷ BS 総資本)×100

計算式の「BS 総資本」は「BS 負債の部+BS 純資産の部」のことを指しますが、「BS 総資産(資産の部合計)」と読み替えても計算結果は同じです。

総資本は「調達してきた資金」の総額を意味しています。経常利益をその調達してきた金額で割りますので、『調達した資金に対する経常的な利益の割合』を計算しているのがこの指標です。

つまり、調達してきた資金でどれだけの「利益」を生んでいるのか、をこの指標は表しています。要するに「企業の投資効率」を指しているとも言い換えることができます。

この指標の数値が高ければ、それだけ調達資金の利益化ができている。「効率的」に利益を生み出しているということができ、総合的な収益力の判断として用いられています。

経営指標:成長性

【成長性】の経営指標は、企業の成長度合いを見るものとなります。「企業が成長する」ということは、事業規模が大きくなっている・売上が大きくなっている・利益が大きくなっている…という状態ですので、自然と収益性の経営指標と似たようなものとなります。

1.経常利益増加率(%)

((PL 当期経常利益 - PL 前期経常利益)÷(PL 前期経常利益))×100

前期と比較して、経常利益がどれだけ増加したのかを表す指標です。単純に(当期経常利益 ÷ 前期経常利益)と計算する場合もあります。この場合は、前期の経常利益額を100%として前年比を見る。という状態ですね。

この指標の数値がプラスであれば、経常利益ベースで「増益」。つまり「その企業の標準的な利益金額が増えている」という意味になります。

2.売上高

PL 売上高

あまりに端的ですが、要するに「年商規模」を見ているということです。

金融機関と元々取引(融資実行)がある場合は、元々その企業がどれくらいの年商規模かを知っていますので「売上高の推移を見る」という意味合いに変わってきますが、新規でスコアリングをされる場合は、これも判断材料に含まれます。

年商規模・売上規模が大きくなれば一般的には評価が上がりますが、当然その中身(収益性・安全性)も大切ですので、これだけ良ければよい、というわけではありません。


今回、【収益性・成長性】の経営指標の一部をご紹介しました。

金融機関のスコアリングでよく使われる…をベースとしていますので、記載しませんでしたが、上場株式等の投資判断で用いられる『ROA』や『ROE』や『売上総利益率(粗利率)』なども収益性を表す経営指標です。

企業・会社の売上や利益がどうなっているのか、というところを見ている人は多いので、今回の内容は元々知っている人が多いかもしれません。

次回は残っている「債務の返済能力」を表す指標をご紹介します。

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