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経営指標 Part2~銀行のスコアリング?安全性の経営指標~

こんにちは。SKPです。
前回、経営指標って何?ということをご紹介しました。経営指標には様々なものがあり、全てをご紹介することはとてもできません。

そのため今回から、数ある経営指標の内、『金融機関のスコアリングで参考にされやすい指標』をご紹介します。

金融機関のスコアリング?

そもそも『金融機関のスコアリング』って何??となるかもしれませんが、金融機関は「融資対象の企業を内部的に【格付け】」しています。その格付けによって、お金を貸すか貸さないか、金利をどのレベルに設定するかを決めているのです。

具体的には、各金融機関が取引先企業の今後3~5年間における信用力を『各銀行独自のシート』を使用して、10~15項目に分類された内容をスコアリングをしています。

このスコアリングは、

1.定量評価(決算書数値からの評価)
2.定性評価(決算書からは読み取れない部分の評価)
3.実態評価

の3工程あるのが一般的ですが、判定に最も大きなウエイトを占めるのが「1.定量評価」です。つまり「決算書」が判定に大きく影響を与えるということです。

これは、どのように判定されるかというと、基本的に『決算書の数値をソフトに入力し、算出された経営指標からの自動判定』です。各金融機関によって、内容は異なりますし、詳細な『評価のロジック』は公表されていませんが、大筋は似たようなものになります。

この定量評価においては、安全性・収益性・成長性・債務返済能力の4つの指標をもとに、総合的に会社を評価します。

よく「黒字にすれば銀行はお金を貸してくれる」という方がいいますが、それは誤りです。『黒字』も収益性の指標ですが、格付けでは、収益性だけでなく、安全性・成長性・債務返済能力も評価されます。

すべての指標でバランスよく、得点を稼がなければなりません。融資前に決算書を作るときには『これらの指標が良くなるように』と考えられると良いですね。

今回は、このスコアリングで良く用いられる経営指標の内、安全性の項目に該当するものを紹介します。

経営指標:安全性

ここでいう「安全性」は、「その企業の安全性」を指しています。その企業の支払能力にどれだけ余力があるか、資金ショートや倒産の心配が少ないか、といった意味となります。

1.流動比率(%)

(BS 流動資産 ÷ BS 流動負債)×100

企業の短期的な支払能力を表す比率です。短期的に現金化できるものと、短期的に払わなければならない資金の比率を表しています。この比率は高いほうが望ましいとされ、200%超は優良と言われます。

100%以下の場合は「すぐ集められる現金」よりも「すぐ支払わなければならない金額」の方が多い、という意味になりますので資金ショートの可能性が高いとみなされます。

2.自己資本比率(%)

(BS 自己資本 ÷ BS 総資本)×100

資本構造の健全性を表す指標です。計算式の単語としては上記の通りですが「BS 純資産の部合計 ÷ BS 総資産」読み替えてもOKです。理想としてはこの比率は、50%を超えていることが望ましいとされています。

これが高いと何故健全なの?という点ですが、自己資本(純資産)は「返済義務のない」資金を指します。そのため自己資本比率は「会社全体の資金の内、返さなくていいお金の割合」という意味になります。

この自己資本比率がマイナス。つまり純資産の部がマイナスの状態は【債務超過】と呼ばれます。

先ほどと同じような言い回しをすると「会社全体の資金の内、返さなければならないお金の割合が100%を超えている」という状態です。まさに【債務】が資産を【超過】している、という単語そのままですね。

3.ギアリング比率(%)

(BS 有利子負債 ÷ BS 自己資本)×100

別名「負債比率」や「レバレッジ比率」と言われます。自己資本に対する有利子負債(借入金)の割合を示す指標です。

この比率は、低いことが望ましく、25%以下だと財務リスクはかなり低いとみられます。

逆にギアリング比率が高くなると、「自己資本」に対して「借入金」の割合が高い状態ということになります。この比率が高い時に、景気後退や金利の上昇があった場合には、自己資本による返済や借入による再調達が困難になりやすかったり、利息の負担が増えたりと財務的なリスクが大きくなります。

4.長期固定適合率(%) 

((BS 固定資産+BS 繰延資産)÷ (BS 自己資本 +BS 固定負債))×100

固定資産に投資した資金が、長期の調達資金(長期のローンと自己資本)でどれだけまかなわれているかを表す指標です。

この指標は、固定資産の保有状況や新規設備投資計画の妥当性・長期的な支払い能力を判断するのに使われます。この指標は低い方が望ましく、100%を上回っていると資金繰りが危ういとみられます。

何故かというと、固定資産は「長期に渡って使用される=投資資金の回収に時間がかかる」のが一般的です。そのため返済義務のない自己資本と長期返済となる負債の範囲(今回の分母)で投資金額が賄われていないと、資金繰りの困窮が想定される、という判断になります。


今回は、安全性を表す経営指標の一部をご紹介しました。前回記載した通り、経営指標は「一つの指標・数値単体」で使うものではない、ということだけ注意してください。

金融機関のスコアリングも「一つに偏ったもの」ではなく、これらの指標を総合的に判定して安全性を判定しています。

次回は、今回に引き続きスコアリングによく用いられる経営指標の「収益性」以降の紹介をさせていただきます。

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