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昔の備品や固定資産 なくなった時にきちんと処理をしていますか?

こんにちは。SKPです。
今週はまた寒波が来ますね…。仕事柄、屋内にいることが多いのですがそれでも寒い…。コロナにインフルエンザ、風邪…体調管理にはお気をつけ下さいませ。

さて、1月になると「税理士業界」は繁忙期に入ります。というより12月の年末調整から個人の確定申告・3月決算法人の決算申告までは繁忙期なのですが。

1月は、給与支払報告書や法定調書の提出、償却資産の申告など、年に一度の申告・提出業務が多くあります。今回はその中の『償却資産』についてのお話です。

知らず知らずに余計な税金を支払っている…。ということもあり得ますので、気になる方はご一読ください。

そもそも償却資産って?

償却資産は「事業に使う機械や備品・器具などの有形固定資産の一部」のことを指します。分かりやすく例示すると「会社で使っている机やパソコン」などです。

建物や土地などの「固定資産税」を支払うもの。自動車の自動車税のように「持っているだけで既に別の税目で課税されているもの」は除きます。ソフトウェアなども「無形」固定資産となりますので、これも対象外です。

『事業に使うもの』に限られますので、100%私用のパソコンなどは関係ありませんが、『事業を行っている』のであれば個人・法人問わず、この「償却資産」の申告が必要となります。

この償却資産の申告は、『その年の1月1日時点で保有している償却資産の一覧』を『その償却資産がある営業所・事務所の市区町村』へ提出することを言います。

その償却資産の『評価額』を計算基礎として「償却資産税」が計算され、5月前後に市区町村から納税するよう通知が届きます(固定資産税の納税通知と一緒になっている場合もあります)。

償却資産は減価償却の計算が違う?

この提出する「償却資産の一覧」は、法人決算や個人の確定申告で用いる『固定資産台帳』や『減価償却資産の内訳明細』と似ているようで別物です。

記載されている内容・様式が違うのはもちろんなのですが、大きく違うことが2点あります。

・中小企業の特別措置法『30万円未満の少額減価償却資産』も記載する
・『耐用年数を過ぎても評価額が残り続ける
という2点です。

まず耐用年数の方から例を見ていきましょう。

例えば40万円で購入したパソコンがあります。パソコンの法定耐用年数は4年です。これは「4年間かけて経費としていく」と受け取ってもさほど間違いではありません。

通常の会計の場合で『定率法』という計算で計算すると下図のようになり、4年後には「帳簿上のパソコンの価値は1円」となります(図では0円となっていますが、実際は備忘として1円残ります)。

キャプチャ

償却方法の違いや法定耐用年数の違いはありますが、事業用として購入した資産は、このようなイメージで「経費」となり、徐々に帳簿上の価値が減っていき、最後には評価額が1円となります。

では『償却資産』の場合は?というと、償却資産には「評価額の最低限度額」が決まっています。これは「最低限この金額は評価額として残してね」というものです。具体的には取得価額(購入代金)の5%となっています。

どういうことかというと、先ほどのパソコンの場合、会計上は4年目で評価額1円となりますが、償却資産では4年目以降も「最低限度額 40万円×5%=2万円」が評価額となるということです。この2万円という評価額は、このパソコンがなくならない限り続きます。

中小企業は特に注意!特例を使った資産

とは言っても、資産が残っているうちは致し方ないことですし、実際にその資産の除却・売却を行った場合は、会計帳簿でも償却資産でも「その資産をなくす」処理をしますので、これはそこまで問題ではありません。

問題となるのは、『30万円未満の少額減価償却資産』の方です。この特例は『購入した固定資産の代金が利用1単位当たり30万円未満だったら、資産→減価償却という手順ではなく、買った時に一括して経費にしていいよ』というものです。

買った時に即経費化できるので、多くの中小企業で使われている特例なのですが、問題なのは「即経費化できる → 翌年以降、減価償却・固定資産の台帳に載ってこない可能性がある」という部分です。

それの何が問題なのか?というと、この特例を使った「固定資産」も償却資産の申告対象となります。しかし、会計帳簿上は「すぐに経費化」しているため、評価額は既にありません。

これは「30万円未満の少額減価償却資産」とした資産を「廃棄」した時に、会計(簿記)上で行う処理がないことを指します。評価額0円ですから、なくなっても0円。つまり簿記で処理はしません。

そうなると税理士さんとしても確認が取りづらかったり、「廃棄した」という連絡を怠りがちになります。

この時に厄介となのが、先ほどの『評価額の最低限度額』です。いくら昔の資産であっても「なくした」と申告しない限り、5%という評価額は残り続けます。

つまり、本当は既にない資産に対する償却資産税を支払っている、という状況に成り得るのです。

償却資産の資産の一覧は必ず確認しましょう

実際に、過去「30万円未満の少額減価償却資産」として処理し、既にその資産はないにもかかわらず、償却資産の一覧に載り続けている…。という状況は目にしたことがあります。

中には平成10年前後に購入したパソコンがまだあることになっていたり…。普通に考えたらあるわけがないのですが…。

「既にない」ものを「ない」と正しく申告するだけで、税金が安くなる可能性もあります。

あまり「償却資産の一覧を見たことがない」という人は、どういった資産が償却資産として登録されているのか、この時期に改めて確認をしてみてください。

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