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川べりの道

自転車で、近所に流れる川べりを、時間の許す限りで走ってきた。川の存在は知っていたけれど、ふと、自転車の練習のため、どんなコースか試してみようと思ったのだ。

今日は寒くて、指先の感覚があまりない。

けど同時に、息が適度に上がってくる。

はあ、はあ、と、自分が呼吸をしている、ということに気づく。

この、感覚……。あれ、何だか、懐かしい感じ。

そうやって、夕方の川べりの道を走りながら、

ふと、過去のことを思い出した。

*

そういえば、1年前住んでいた場所でも、私は同じようなことをしていたなあ、と。

そこにも、家の近所に細い川が流れていた。

ここと同じように、控えめに、住宅街を流れる川だった。

同じように、ジョギングや犬の散歩をしている人たちがいた。

私もそこで、よく夕方近い午後に、ジョギングをしていた。

はあ、はあ、はあ…

距離は大したことないけれど、適度に息があがること、また、細い道路なので、車を気にするストレスがないこと。

春にはちゃんと、桜が美しく咲いて、走る足を止めて眺めていた、あの川べりは、今も変わらずそこにあることだろう。

…そんなことを、思い出した。

*

住む土地が変わっても、手段がジョギングであっても自転車であっても、

「道をゆくこと」が、今日の私を懐かしく、温かな気持ちにしてくれた。

記憶の深淵で、つながってくれた。

だから私は、新たに見つけた、この川べりの道のことが好きになった。

この道を通るたび、

いつかの「あの道」の記憶と、私は並行で走るのだろう。

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sao

ありがとうございます!幸せな表現ができるよう精進します*.。*