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29歳になった。

年を重ねることをプラスにとらえたいし、マイナスにとらえる必要もないので、いくつになっても「花の〇〇歳♪」と宣言してきた。

しかし、これは毎年付きまとうことだけれど「思い描いていた歳よりは幼く、未熟だ」とは思ってしまう。

あと、これは最近してしまうことだが、年齢を問われたときに「30です」と、多めにサバを読んでしまうことがある。

これは「30にしては若い」と思われたいのかもしれないし、30歳として扱われたときに感じるであろう衝撃を、緩和しようとしているのかもしれない。

なんというか、人として、転職市場上で、もっと魅力的な29歳になっていたかった、とは思う。とはいえ、無理をする気はない。倒れちゃう。

ただ、体力気力を鍛えて、倒れないように頑張れるよう、そして頑張れるキャパを広げられるよう、精進したい。

「誕生日はプレゼントをもらえる、ラッキーな日」くらいでとらえておいた方がいいのかな。

「おかげさまで、スクスク育つことができました」ということは、周りの人たちに伝えられた。

祖父母は「風呂おけで、赤ん坊の貴女を洗ったのが、この間のようだ」「素敵なレディーになって」と目を細めていた。もう私の体は、風呂おけには収まらない。

ずっと背伸びしがちな生き方をしてきた。
嫉妬の対象を見つけては、追い抜こうとしてみたり。歳下の人たちがテレビやYouTubeで活躍することが普通になって、悲しいかな、以前よりは悔しがることが減ってきた。

私が尊敬して、嫉妬している人たちの中には、自分がやるべき一点以外全て投げ捨てて、そのことに注力している人もいる。

「あの人は、悪魔に魂を売ったんだな」

そう感じる。

魂を削って、命をかけてものごとに取り組むさまは、美しく、恐ろしい。

私には、悪魔に魂を売るような勇気はなく、とはいえ欲ばかりある。

まあ、そんなことばかり考えずに、魂を誰かに売らずともやっていける力を手に入れるつもりだ。

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