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音と動きがきらめくところ プログラム

音と動きがきらめくところ
~Space where body and sound resonate~

2024年1月26日(金)
西宮市プレラホール

【舞踊の流れ】
 本日は大変な寒さの中、ご来場いただき、本当にありがとうございます。
 赤ちゃんが何か手や足をばたつかせているのも踊っているように見えますし、心臓の鼓動はリズムに違いありません。しかし、舞踊と言い音楽と呼ぶ以上、そこには表現することへの意思が存在します。特にそれが個性的な個人の表現として強まったのが、近代以降の現象だと言えるでしょう。
 クラシックバレエが物語を高度なテクニックで綴っていったのに比べると、20世紀初頭に始まったモダンダンスは、振付家やダンサーの個性や感情を強調し、「表現」であるという性格が強まりました。
 1960年代になって、アメリカで「ポストモダンダンス」という、表現しないことを強調するダンスが生まれます。テクニックを否定し、日常的なしぐさの単純な反復に終始する、観客と出演者の垣根なんてないよね、的な。
 コンテンポラリーダンス(現代のダンス)が始まったのは、その後のことです。バレエ(テクニックと物語)、モダン(個性や感情)、ポストモダン(日常性)のすべてを呑み込み(テクニック以外)、なんでもあり、誰でもできると揶揄もされましたが、身体を動かすことによって自分を表現でき開放することを知った人が増え、コミュニティダンス=ダンスによって人のつながりを作ることが広まったことも大切なことでした。
 その後、コンテンポラリーの「なんでもあり」な精神を、一流のバレエ団、バレエダンサーが吸収し、ヒップホップ等とも融合して、現在に至っています。
 今日演奏される音楽も、室町時代に遡れる能楽、18世紀のテレマンから今を生きている徳山氏まで、ドイツ、ロシア、フランス、日本と、時空共に大きな広がりが見られます。生演奏で舞踊とのコラボレーションですので、アーティキュレーション(音のつながりなど)に意外な発見があるかもしれません。今回は初めに音楽ありきの作品が多く、興味深いことです。
 今日ご覧いただくダンサーは、バレエを中心にしながら様々なバックグラウンドを持っています。多様なありようを見ていただけることと思います。音楽と舞踊が対等に組み合うことで、音楽が音に、舞踊が動きに分節され、個々の要素が宝石のように、皆さんの中できらめくのではないかと期待し、この4作品をお届けしたいと思って、本日を迎えました。それぞれに、お楽しみいただければ幸いです。            (上念省三 制作、ダンス評論)

(1)      豊永洵子 矢木一帆 竹本玲美(p)
「IMAGINE」
ドビュッシー(1862-1918)「映像」第1集「水に映る影」、第2集「動き」「荒れた寺にかかる月」

(2)      田中早紀 古川莉紗(p)
ラフマニノフ(1873-1943)「前奏曲」嬰ハ短調作品3-2、「交響曲第2番」第3楽章、「パガニーニの主題による狂詩曲」第18変奏を抜粋・編曲
坂本龍一(1952-2023)「energy flow」「The Sheltering Sky Theme」

(3)      菊池航 東瑛子(vn)
「ふるえるあわい」
テレマン(1681-1767)「無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲」第1番変ロ長調第1楽章ラルゴ
アイリッシュ・ジグ

(4)      後藤俊星 宮本萌 水速飛鳥 横石雄紀(能管、p)
「追憶の天衣」
盤渉序ノ舞より(能管)
徳山美奈子(1958- )「序の舞~上村松園の絵に基づく~」「ムジカ・ナラOp.25」

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