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世界を覗き見る

 斉藤倫詩集『オルペウス、オルペウス』2006。一種の奇書かもしれません。オルペウス(オルフェウス)は、ギリシャ神話で有名な、後ろを振り向いちゃった人で、竪琴の名手。オルペウス、エウリュディケらの名を借りつつ、木詰緑平という学生?、その友人?の鮒山善一、木詰の恋人なのか増岡洽子といった人名が出てきて、バンドをやってるようで…と、よくわからないまま微かにオルペウスの物語ともつれ合いながら進んでいく一冊。
 言葉は平易で美しく、時折キュンともするが、ほぼよくわからない。もう一度ちゃんと読めば、少しわかるかもしれない。世界がきっちりできていて、読者はそれを覗いている。自分の読解力と努力のなさを差し引いても、覗き見の焦ったさと快感は確かにある。

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