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ミジカムジカ「ダンス×音楽 おなじときとばで」プログラム原稿

「ダンス×音楽 おなじときとばで」
神戸女学院大学キャリアデザインプログラム「アート・パフォーマンス」受講者  スタッフ実習公演

ダンス みゝず(高野裕子 菊池 航)
音 楽 志賀俊亮

西宮市大学交流センター
2019年8月3日(土)

【ダンスの歴史】
 今日観ていただくダンスは、いわゆるコンテンポラリーダンスです。
 そもそもダンスは、人々の共同体の中で、祈り、悼み、喜び、悲しみといった感情の大きな揺れに伴って、あるいは身体の自然な躍動欲求に伴って、徐々に洗練され、定型化する部分が生じたりして発展してきたものだと思います。世界各地で民族や地域ごとに、特徴のあるダンスのスタイルが生まれてきました。
 それらを統合し洗練させ、作品として構成することによって、ヨーロッパではイタリアからフランスでバレエというスタイルが生まれ、ルイ14世の傾倒と庇護のもと、17世紀半ばに王立舞踊アカデミーが設立されています。これは現在のパリ・オペラ座バレエ団で、ロマンティック・バレエの殿堂として、19世紀末までバレエの世界を牽引しました。この後バレエの中心はロシアに移り、チャイコフスキーで有名なクラシック・バレエの名作が生まれます。
 20世紀に入ると、アメリカでモダンダンス、パリでロシア出身者を中心としたバレエ・リュス(ロシア・バレエ)が身体による芸術表現の新しい世界を開きました。自由な動き、個性や民族性の重視、他ジャンルの芸術との共同、などです。それらの新しいダンスは、現代芸術の流れと歩みを同じくするようにして、表現主義的、ミニマリズム、ダダイスム的といった多種多様で個性的なダンサー・作家・作品を生み出してきました。
 20世紀末に生まれたとされるコンテンポラリーダンスは、コンセプト(発想)を重視したアンチ・テクニック的な傾向、演劇への接近、主題の深化、インスタレーション(展示空間を重視する美術)の中での身体、観客とのコミュニケーションやワークショップ、ミクスドメディア展開、欧米以外の地域への広がり、空間との親和性を強調したサイトスペシフィック的傾向、即興的要素の取り入れ、ダンサーの多様性の広がり等々、さまざまな姿を見せていますが、作家やダンサー個々の身体観・価値観に基づいた多様な世界を見ることができます。

【シンセサイザー】
 言葉の意味は「合成装置」というほどのもの。個人的な記憶としては、冨田勲の『月の光』というアルバムで初めてシンセサイザーによる音楽を聴いたように思います。ドビュッシーの名曲をシンセサイザーで演奏したもので、1974年に発売されました。次に鮮烈に印象に残っているのは、YMOの『ライディーン』です。これが1980年、7インチレコードでした。
シンセサイザーには大別してアナログとデジタルがあります。アナログ・シンセは、電子部品回路で音を創るもので、どちらかというと暖かいサウンドが親しまれています。デジタル・シンセは、サンプリングなどのデジタル技術で音を創るもので、簡単に正確で多機能な演奏が可能です。
アナログ・シンセは、音波を発生させる発振器(オシレーター)から出た音を加工して音色を変化させること(フィルター)で様々な音を出せるようにします。
今日志賀さんが使っているNord Lead 2Xという機種は、1995年に世界初の市販アナログモデリング・シンセとして登場したものの後継機です。

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