覚醒の話30 安定のあと (695文字)
「安心-それが人間の最も身近にいる敵である」
これはシェイクスピアの言葉です。
安心するという状態になると、人間はどうしても、気の緩みが出てきて油断をし、そこから思わぬ災いを招いてしまうという可能性があります。
「蟻の穴から堤も崩れる」のように、初めは小さな事からです。
「油断大敵」と、日本の諺でも言われていますが、安定し安心した状態は、何かの拍子にそれが不安定な状態へと変わっていくことがあります。
変わりばえのしない毎日の仕事や家庭、変化のない同じような日々を過ごしているときは、人間、何か新たなものを求める心が生じやすいです。
もっと自分を生かす仕事があるのではないだろうか。
もっと自分にしっくり来る人間関係があるのではないだろうか。
もっと自分が真に歩むべき道があるのではないだろうか。
そうして、自分が知らない未知の世界への憧れが強くなっていきます。
安定し、慣れきった環境からの脱却を望んで、心は何かしら変化を求めてさ迷い出します。
そして、今の環境から飛び出すべく、現状認識が甘いまま、何かに手を出して失敗してしまうことがあります。
飛び出してみて、タイミング良く次なる新たのものが得られればいいですが、そうは問屋は卸さないことも多い。
なかなか思うようにはいかないときがあります。
そうして今度は、心ならずも不安定な時期が長く続いてしまい、再び安定を求めるようになっていく。
現在の不安定さから早く脱出し、再び安定した状態を早く取り戻したい、と思うに至り、またさ迷うことになります。
安定が続けば、変化を求めて不安定となり、不安定となれば、再び安定を求める、という人間の愚かさと心変わりがあるものです。
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