08-ホームステイ&ケララ料理修行
ケララで迎えてくれたホームステイ先のマザーとファザーは、とても暖かい夫婦だった。
お互いの家族構成なんかを紹介したり
世間話を少ししてから、部屋に案内してくれた。
疲れていてゆっくり見る気力はなかったけど、家の内装も独特で美しい。
年季は入っているけど、かなりの豪邸。
すごいお金持ちだと思う。
聞けば、代々セイラーの家系で、
お父さんはコーチンの港の統括者。
マザーはいわゆる料理研究家で、
ケララの家庭料理を極めたプロフェッショナル。
若い頃はセイラー時代に大型船の厨房で、
365日料理を作る仕事をしていたそう。
彼女は自分のスタジオも持っていて、地元の人や学生にもケララ料理を教えているんだけど、
私は事前に彼女と打ち合わせをして、
プロ仕様の特別プログラムを組んでもらっていた。
なんと、かの有名なナイル氏も
マザーの元で料理を学んでいたそうな。
私は今日から5日間、彼女の家に泊まりこみでケララ料理を叩き込む。
とは言え、私も素人ではないので、
基礎は半日だけ。
新たな料理を学びつつ、
さまざまなテクニックを吸収させてもらう。
内容が内容だけにプライベートな研修になったんだけど、初日だけは、6人のドイツ人と一緒に学ぶことになっていた。
(明日からは私専用の特別コースになる。)
それでも初日から、メニューは全て私のリクエストした料理に応えてくれていて、マザーも久々に気合いの入った(プロの)料理人を育てることに情熱を持ってくれているのを感じた。
本気で学びに来たことを、事前の打ち合わせから重々に感じてくれていたらしい。だから私もあなたに本気で教えると言ってくれた。完全に師匠である。
ホームステイビジネスも展開しているマザーは、外国人の受け入れには相当慣れている。
英語もインド訛りが殆どなくて、かなり聞きやすい。
学ぶ身として先生の英語が理解しやすいのは、めっちゃ助かる。
そんなこんなで、睡眠不足MAXの中、
AM
3:00 ホテル出発
5:45 ハイデラバード発
7:00 ケララ着
8:00 ステイ先に到着
ってな動きをしたので、部屋に入るなり気絶。2時間だけ仮眠。
10:00にマザーが起こしにきてくれた。
何度もノックしてくれてた様子。
寝ぼけながら下に降りると、
既にドイツ人の生徒6名がエプロンをつけて待機していた。待たせてごめん&挨拶。
3組は観光客(でも料理人)。それぞれがカップルで、うち1組はゲイのカップルで、私はその2人のキャラがとても好きで、仲良くなった。
和気藹々と、楽しいスタート。
初日がこのメンバーでよかったなと思った。
(明日からはタイマン研修なので、必死になりそう。)
私以外はみんな初めてケララ料理を学ぶので、スパイスの紹介から。
私も基本を再確認できるので、有意義だった。
マザーがいろいろなスパイスを見せながら、
これは何?わかる人?と皆に聞いていく。
もちろん全部わかるけど、せっかく皆の学びの機会を邪魔したくないので、誰も答えなかったやつだけを私が答えていく。
(ブラックカルダモンとかメイスとかアサフェティダとか、ちょっとマイナーなやつ。)
マザーは完全にカシミールチリしか使わない派だった。カシミールチリは、鮮やかな色味が特徴で、そこまで辛くない。色味だけがもっと欲しければパプリカでもいい。
日本で出回ってるのはカシミールチリではないことが多い。もっと小さくて辛い。だから分量を調整する必要がある。
食材を見渡しながら、改めて、日本で完全に同じ味(南インド料理)を再現するのは至難の業だと感じる。
やっぱり最大のネックは、生(フレッシュ)の材料に限界があること。
しかも南インド料理において、味の要になる重要素材たち。例えば、
・ココナッツ(生なんてまず使えない)
・カレーリーフ(手には入るけど一般的には売られてないし育てるのも大変)
・エシャロット(生は殆ど見かけない)
・緑マンゴー(酸っぱいやつ)、硬いバナナなど
↑これらは生かドライかで味が大きく変わってしまう。しかも日本で生を手に入れるのは至難の業。
超ラッキーで手に入っても、めっちゃ高かったり、常備や大量となると難しい。
常に仕入れたい、となると、結局ドライ一択になる。もうこればかりは仕方ない。
沖縄ならまだ生も育ちやすいんかな。
That's why 南インド料理の完璧な再現は難しい&高い&日本に専門店が少ない所以かもなぁ。
でも、100%はムリでも、90〜80%の再現は可能だと思う。私はそこを目指して頑張っている。笑
和食でいうたら、
生のわさびを使いたいのに
わさび味のフリカケしか売ってない、、
みたいな。笑
梅干しの果肉を使いたいのに、
「干し梅」しか手に入らない、
みたいな。
でも、近い風味は出せるやん?
要するに、もっともっと香り高い味は現地にしかないけど、工夫することで近い料理は、異国でも作れる。
逆に、生が手に入らないにしても、冷凍や代用品で全然okなものもある。
例えば
・ドラムスティック(あっても冷凍)
・グリーンチリ(あっても冷凍)
・ジャガリー(黒糖でおっけー)
・瓜類(冬瓜やかぶやズッキーニで可)
など。
この辺は、冷凍や代用でもめちゃくちゃ大きくは味を変えないので、安心して使える。
野菜も、食感や風味が似たものをチョイスすれば美味しい。それも楽しい。
そんな感じで、かなり濃い内容で、研修は進む。(半日かけて7名で8種類のケララ料理を作り学んだ。)
うち、4種は店でも提供している基本料理だけど、私のとは全然味が違うものと、完璧に同じものがあった。
例えばサンバルなんかは全然違うけど、
サンバルって各家庭やお店で本当に味が違うから、それは気にしなくておけ。
この旅だけでも沢山のサンバルを食してるけど、ぜんぶ全然ちがう。私も、自分の美味しいサンバルをひたすら追求していくのみ。(今回の旅でまた刺激をめちゃくちゃ受けてるので、特にサンバルは味が変化しそうな予感。)
トーレンも、初めての野菜で作ったけど、これも美味しかった。使った瓜は日本にない種類だったけど、味はズッキーニ。
自分のトーレンも美味しいけど、マザーのも大好き!美味しいってしあわせ!
逆に、殆ど完璧に同じ味だったのは、ビーツのパチャディやオーラン。ほぼ一緒やけど、何なら私のが美味しい、とか、ちょっと自信になるようなパターンもあったり。(逆もあるよ)
今までの常識や思い込みが外れて理解が深まったり、目から鱗とか、改善ポイントも沢山みつけられた。
細かいところに沢山のテクニックがあって、それを一つ一つ、こぼさないように吸収していく。
まぁでも、これは基礎知識がないと英語でのレッスンは大変やろなー。専門用語だらけやし。
頭パンクするわ、それだけ中身が濃ゆい。
生徒たちも熱心で、うち半分はプロの料理人だった(みんな手際がいい)。
先生も情熱に火がついたのか
5時間のレッスン予定が、
7時間になった。休憩はゼロw
気づけば立派なミールスが完成。
みんな頑張ってたなー、
ミールスとして完成すると、達成感あるよな!
私はふだん、アシストしてくれるスタッフと2人で、20倍の量を1日がかりで仕込んだりしてる。
種類をこなすには、いかに手際よく効率よくやるかも大事。自分たちも普段よく頑張ってやってるわ、と改めて思った。
ゲイのカップルが私のお店に興味を持ってくれて、日本にまた行くから寄るねと言ってくれた。再会できたら超嬉しいでござる。
そんな感じで、気づけば夕方。
寝不足で料理しまくって、もうヘトヘト。
今日は初心者向けだったとはいえ、気づきも多いし、充分に学び深い半日だった。
明日からはヨガ修行も始まる。
ので、
今日のうちに郵便局に行っておかなくちゃ。。(まだ動くんかい)
朝に仮眠したし、大きい荷物はないし、
用事が終わったら寝れるからね!
今回インドにゆっくりしに来た訳ではない、
Time is moneyな旅である。
日本で待ってる娘ちゃん、
を想うだけで頑張れる。
・・・やっぱり母は強いのだ。
▶︎to be continued...
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