理学療法士国家試験問題:出題者の独りよがりの最低な問題

[50P89]加齢に伴い増加するのはどれか

1.速筋線維     
2.ビタミンD  
3.成長ホルモン
4.α運動神経細胞  
5.炎症性サイトカイン

答えは(5)の炎症性サイトカインということらしい。

選択肢を見ていくと

1.は高齢者では遅筋(タイプ1)よりも速筋(タイプ2)の方が先に減少します。イメージとしては老人ではスピードが遅くなりますよね。

2.は高齢では胃でのビタミンDの産生が少なくなるので、骨粗鬆症の一因になります。

3.成長ホルモン:成人でも成長ホルモンは一定量出ていますが、さすがに老人で増加する事はないでしょう

4.α運動神経細胞:脊髄前角の運動神経細胞は加齢によって減少する事が知られています。

という事で正解は1〜4の除外から5の炎症性サイトカインにたどり着くという結果になります。

しかし、理学療法士の国家試験でこんな事で良いのでしょうか?

炎症性サイトカインというのは、炎症に伴ってリンパ球や好中球などから産生される物質で、腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン-6 (IL-6)、インターロイキン-8 (IL-8)などたくさんの種類があります。またそれぞれが相互に作用しあって、炎症のネットワークが作られています。

それらは医学研究としては面白い(じつは以前大学で炎症性サイトカインの研究をしてました)ですが、果たして理学療法士のその知識が必要でしょうか?

答えはNoです。そんな知識は理学療法士には全く不要です。

そもそも国家試験というのは、これから理学療法士になろうとするすべての学生が知っておくべき知識を確認するものなのではないでしょうか?

炎症性サイトカインって、全国のすべての理学療法士の学校で教えてますか?そんな事ありえない、というか、そんな知識、全く必要ありません。

こんな問題だせば、これから延々と理学療法士を目指す学生がこの問題に接して、炎症性サイトカインって何?って事になる。

あ〜、むだむだ。

リハビリの先生で炎症性サイトカインの研究をしている先生が、自分の独りよがりで問題を出したに違いない。

「厚労省は単に正解が複数ある」という理由で不適切問題にするだけではなく、問題の内容を吟味して、この問題は理学療法士の国家試験問題としては不適切であるとしてほしいです。

そしてこんな問題は二度と出題されないようにしてほしいです。

それにしても最低な問題です。

(PS)ちなみに、試しに息子にやらせてみたら、消去法で正解してました。ははは。 



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