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還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ63

僕の紙飛行機はこの先どこまで連れて行ってくれるのだろう?

今日でスタディアブロードも終わり

 最終日の朝は6時に起床した。今朝もテレビ体操から初めてウクレレの練習までルーティンをしてから帰国の準備を行った。

 そしていつものようにリュックにウクレレを入れて、鍵を持って食堂に向かった。突起物に何回も頭をぶつけたのが今となっては懐かしい。

 朝食後は公園に行ってウクレレの弾き語りを楽しむつもりだ。

 スクールの食堂に着くといつも通り英語での挨拶が飛び交っていた。高齢者テーブルに目をやると若者に交じってチエの姿があった。彼女の両脇は空いていなかったので、私は軽く会釈をして空いた席にリュックをおろして、ビュッフェの列に並んだ。

そこへマンゴウが声を掛けてくれて今日は夜9時にタクシーを予約したことを教えてくれた。

 私はトレーにいつも通り沢山の食材を乗せて、高齢者テーブルで写真を撮ってlineで妻に送った。

  妻から早速返信が来た。マンゴーおいしそうですね。お土産にドライマンゴーをお忘れなく、そして書道教室で先生と皆さんと一緒に食べられるようにテオ・アンド・フィロもお願いします。テオについてはググってみてくださいねという内容だった。

テオ

 それで早速ググってみると “最高のカカオを生産するのに必要な肥沃な土地と温暖な気候で育ったフィリピンのミンダナオ島ダバオでできたカカオ豆を使用していて、フィリピンの国民的料理「アドボ」味や、少しスパイシーな「チリ」味などの商品展開もあり、アルコールにとても合うチョコレート”だそうだ。

妻のスイーツに対するどん欲さには脱帽!

 それにしてもアルコールに合うチョコレートというのは魅力的だ。そして書道教室の生徒さん達や先生と研修旅行の旅館でしこたま呑んだらしいから酒好きの方も多いのだろう。

 そんなことを考えながらにやにやしているとフルーツが声を掛けてきた。

フ:「Hi! Shige. Can you come to the office after a meal?」はい!シゲ。食事がすんだら事務所に来ることは出来ますれすか?

鍵:「Yes, I can.」はい。

と言ってトレーを片付けてから事務所に立ち寄った。

フ:「シゲ。久しぶりです。元気れしたか?」

鍵:「元気でしたよ。フルーツはどうでしたか?」

フ:「おかげさま元気れす。シゲは今夜帰国でやしたね。」

鍵:「そうです。大変お世話になりました。ありがとうございました。ご主人にもよろしくお伝えください。」

フ:「はい、わかりました。夜食後に洗濯費用の支払いをしてください。私は夕食の時はいません。Please get your passport, wallet, etc. from Tomoko. Does it make sense?」パスポートや財布などはトモコから受け取ってください。分かりますか?

鍵:「Yah, it makes sense.」はい分かりました。

フ:「ふふふ。最後のレッスンになりましたね。これからも英語の勉強を頑張ってくらさいね。」

鍵:「はい。頑張ります。これは生まれて来る子供へのプレゼントです。素敵なお母さんになってくださいね。さようなら。」といって、折り紙の鶴を手渡した。

フ:「さようなら。ありがとう。シゲに会えてよかった。元気れまたこのスクールに来てくださいね。」

鍵:「こちらこそありがとう。赤ちゃんに会いに来ますね。さようなら。」

そう言って食堂を後にして公園に向かった。

少し遠回りになるがこちらに初めて来た時に散策した高級住宅街をのんびり歩いて、公園に着いた。しかし今朝も数匹の猫以外人は誰もいなかった。

 いつものようにリュックから楽譜とウクレレを取りだして、二人乗りのブランコにまたがって座って弾き語りを始めた。

 ♪ふるさと♪を弾き語りして、♪上を向いて歩こう♪のタブ譜を見ながらソロ演奏を練習。そして、カノン進行を4ビートや8ビートで弾きながら適当に歌詞やメロディを口ずさんだ。

 このカノン進行は、作詞作曲の考え方として動画を検索している時に偶然発見したのだが、とても気に入っている。C、G、Am、Em、F、C、F、Gという同じコードを繰り返すだけだが弾いていて気持ちが良いのだ。

 これはエンドレスで楽しめるし、作詞作曲も出来そうな気にさせてくれる。そして調べてみると、このコード進行は日本人が大好きなのだそうだ。それで、多くのヒット曲が生まれているという説明があった。

 動画の中でウクレレ講師はあいみょんの♪マリーゴールド♪やスピッツの♪チェリー♪、徳永英明の♪壊れかけのRadio♪、Zardの♪負けないで♪そして山下達郎の♪クリスマスイブ♪の弾き語りをして見せてくれていた。どの曲もAメロぐらいは歌える曲ばかりだ。

 それに最後にサザンオールスターズの名曲である♪真夏の果実♪をアルペジオで演奏の解説をしていた。そして、始めての作詞作曲はこのコードならだれでも簡単に作成可能だという説明はとてもありがたかった。

 私は早速このカノン進行でシンガーソングライターあいみょんのマリーゴールドを弾き語りしてみてとてもわくわくしてきた、帰国したら何度も練習して孫娘と一緒に歌ってみたい。

孫娘と愛犬ソックス

 そしてこのカノン進行を参考にして作った「仲良しっていいよね 嬉しいよね」を孫娘と一緒にウクレレの弾き語りをして家族に聞かせたいと考えている。

 公園での練習の最後にAKB48の♪365日の紙飛行機♪を弾き語りして歌い終わると急に寂しさが込み上げてきた。

毎朝ここでウクレレの弾き語りをしたことは、この景色と埃っぽい土の臭いと共にこれからの人生において何度も思い出すことだろう。

 マニラはこの時期乾季でありこちらにいる間一度も雨に降られなかったのはありがたかったし、何よりもまして杉花粉に悩まされることなく過ごせたので快適だった。

考えてみるとスタディアブロードという名のご褒美一人旅はこれからの私の人生においてとても重要な1か月間だったのではないかと感じている。もう二度とこんな経験は出来ないかもしれないとすら思う。

僕の紙飛行機はこの先どこまで連れて行ってくれるのか?

さて僕の紙飛行機はこれから先どこに連れていてくれるのだろうなんて考えながら、リュックにウクレレと楽譜をしまってから猫たちに挨拶をして、商店街の方を通って部屋に戻った。

リュックを部屋に置いてスマホと2万円とわずかなペソが入った財布と小さな英会話メモ帳を手提げバックに入れてショッピングモールに向かった。

何時ものようにガードマンに扉を開けて貰って「Thank you」と言いながら頭を下げて通り抜けた。マニラに来た初日はセンキュウと発音できずにカタカナ英語風にサンキューといっていた。

それはサラリーマン時代に韓国への社員旅行の時に同僚の前でネイティブの様な発音をして、さんざん冷やかされたことがあった事がトラウマになっているからだった。

しかしこちらで生活しているとカタカナ英語だととても恥ずかしく思えてくる。それに気づいてこちらに来て二日後には、抵抗なくセンキュウといえるようになった。

最初にデパートで大きめのリュックを買って孫娘のお土産を探し、最後にコンサートウクレレを買うつもりだ。

そして妻からのリクエストのドライマンゴーは何時ものスーパーで買って、チョコレートは空港の免税店で買う事にすればよいだろう。

ショッピングセンターでお土産を買う

 ショッピングモールの入口には既に何人かの列が出来ていて、最後尾には西洋人らしきご夫婦も並んでいた。私は軽く会釈をしてその後に並んだ。西洋人のご夫婦はバッグをチェックされていたが、私はノーチェックで通り抜けることが出来たので、そのままスーパー脇の両替所に行って2万円をペソに替えて9,184ペソを手にした。

空港へのタクシー代の700ペソはメインの財布に残してあるので両替した分は全部使ってしまってもよい勘定だ。

マニラで買ったコンサートウクレレ マホガニー

 先に楽器店に行ってウクレレのコンサートの長さと金額をチェックすることにした。

何故かというと私のプランとしては新しく買ったリュックにコンサートをウクレレケースごと入れ、余ったスペースにお土産を詰め込んで持ち帰るようにすることだからだ。

鍵:「Hi! It’s been a while. How’s it going?」やぁ、久しぶり!元気?

店:「Not too bad. You?」まぁまぁ。あなたは?

鍵:「I’m good. Thanks.」元気だよ。ありがとう。

店:「How can I do for you?」何か御用ですか?

鍵:「I want a concert-sized ukulele. Do you have some?」コンサートサイズのウクレレが欲しいんだ。いくつかありますか?

店:「How’s this?」これはどうですか?

鍵:「What country was this made in?」どこで造られたものですか?

店:「Made in the Philippines.」フィリピン産です。

鍵:「What is it made of?」何で出来ていますか?

店:「Made of plywood.」合板で出来ています。

鍵:「I want something made of single plate.」単板の物が欲しいのです。

店:「Some are made of mahogany.」マホガニーで出来ているものはありますよ。

鍵:「Can you show me?」見せてくれますか?

店:「Sure. Here you are.」勿論、どうぞ。

鍵:「Thank you. It’s the same one my friend bought.」ありがとう。私の友達が買ったものと同じものですね。

店:「That’s right.」そうです。

鍵:「How much?」いくらですか?

店:「It’s 5,500 pesos. 」5,500ペソです。

鍵:「Could you give me a discount?」割引して貰えますか?

店:「Let’s serve the ukulele case and tuner.」それではウクレレケースとチュウナーをサービスします。

鍵:「All right. I’ll buy it.」それでいいです。それでお願いします。

店:「Which is better for the ukulele case, this one or another one?」ウクレレケースはこちらとこちらだとどちらがいいですか?

鍵:「That is better than these.」これらよりあちらの方が良いです。

店:「No way. That is higher than these.」とんでもないです。あれはこれらより高いのです。

鍵:「Come on. If it doesn’t work, let’s me think about that.」いいじゃないか。もしダメならチョット考えさせて。

店:「Okey, I agree with you.」承知しました。それでよいです。

鍵:「It is 5,500 pesos. 」5,500ペソです。

店員は、チューニングしてきれいに拭いてくれてからケースに入れて、手渡してくれた。

店:「Thank you for waiting. Have a nice day.」おまたせしました。良い一日をお過ごしください。

鍵:「You too.」あなたもね。

KFCでの「Eat in?」に体が固まった

セットにするとおにぎりがついてくる

ウクレレケースがリユックのようになっているのでそれに両腕を通してデパートに向かった。そして途中にあるKFCでランチを食べた。スクールでファストフードでの注文の場面の練習を積んできたので、前回苦労した「Eat in.」の聞き取りも出来、すぐに「Yes, please.」と言えたのはその成果といえる。

 フライドチキンを食べながら初めてKFCで注文した時の事を思い出している。あの時は店員から「Eat in」と訊かれているのに、イーティヌとしか聞こえなかった。まったく何を尋ねられているのか分からず、私の後ろに並んだ客に迷惑をかけていると焦るなか、やっと「Sorry.」を絞り出し、店員が「For here or to go.」とゆっくりした英語で、ここで召し上がるか、持ち帰りかと違うフレーズで訊き返してくれたので「For here.」と答えることが出来た。

あの時の救われた気持ちになったあの場面をテーブル席でフライドチキンとおにぎりを食べながら思い出して苦笑いしていた。

 私は日本のファストフードで注文する時でさえも緊張するのに、マニラのマックやKFCやスタバなどに列に並んでいて「Next stand by, please. What would you like to have?」次の方どうぞ、

ご注文をどうぞ。といわれただけで緊張感はマックスに達してしまうのだ。

2度目のマックでドキドキを体験。

マニラのマクドナルド

 2度目にマックに行った時は、おにぎりは食べたくないと考えて、セットを頼まずに単品でチーズバーガーを頼んだことからドキドキを体験した。

店:「What can I get for you?」何にしますか?

鍵:「Can I have cheese hamburger please?」チーズバーガーをください。

店:「For here, or to go?」店内で食べますか、持ち帰りですか?

店:「Would you like a combo or just a hamburger?」セットですか?単品ですか?

鍵:「Just a cheese hamburger please.」チーズバーガーを単品でお願いします。

店:「Would you like some drink with it?」一緒に飲み物はいかがですか?

鍵:「Iced coffee please.」アイスコーヒーをください。

店:「We have three sizes for iced coffee, small, medium, and large. Which size would you like? 」

  アイスコーヒーのサイズは、小と中と大がありますがどれにしますか?

鍵:「Large one, please.」大をお願いします。

店:「Would you like some French fries with it?」フライドポテトはいかがですか?

鍵:「No, thanks.」いりません。

店:「Would you like anything else?」その他はどうしますか?

鍵:「No, thanks. That’s all.」結構です。これで全てです。

店:「Certainly. I will conform your order.」かしこまりました。注文を確認させてください。

鍵:「Sure.」はい。

店:「Your total is 190 pesos. 」190ペソになります。

鍵:「Here you go.」これでお願いします。

店:「Here is your ten pesos change. 」お釣りの10ペソです。

鍵:「Thanks.」ありがとう。

店:「Would you like a receipt?」レシートが必要ですか?

鍵:「No. thanks.」いりません。

店:「Take a number and wait at your table, thanks.」番号札をお持ちになりテーブルでお待ちください。

鍵:「Sure.」はい。

店:「Number 5, please. Thank you for waiting. Here you are. 」5番の方、お待たせしました。どうぞ。

 私はドリンクを見て思わず違うって声が出てしまった。それは、アイスコーヒーを頼んだのにコーヒーフロートになっていたからだった。しかし、これは私が頼んだものと違いますというフレーズが出てこなくってそのまま笑顔で受け取ってしまった

鍵:「Thanks.」ありがとう。

店:「Thank you very much .Please take your time.」ありがとうございました。ゆっくりしていってださい。

鍵:「Thanks.」ありがとう。

 席に戻って英会話メモ帳で、これは私が頼んだのと違いますは「This is different from what I asked for.」という事を確認した。

それにしても店員が早口なので聞き取ることに苦労してしまい、何度か訊き返してしまった。

 それにスクールの先生からフィリピンのマックには、日本のようなアイスコーヒーはなくアイスクリームが乗っていて物凄く甘いから気を付けて、と言われていたのを食べながら思い出し反省した。

焦ってしまって英語のフレーズが出てこない時でも「Well.」とか「You know.」でつなげる練習をしなくてはダメだと改めて感じた。

そういった意味でもいろんなことにトライしてよかったと思っている。私が大切にしている言葉は “やらずに後悔こうかいするよりもやって反省”であり、どちらにしようか迷ったときは、人からアホな奴だと言ってもらえる方を優先すると決めている。

どちらにするかと悩む場面は言い換えればどちらにしてもフィフティフィフティという事だからどちらを選んでもどうせ後悔することがあるだろうから、どうしてこちらを選んだのかという明確な方針を決めておくと気が楽だからだ。

 改めて店舗内を見渡すと日本の平日でのランチ時と同じように小さいお子さん連れのお母さん達が多い。

勿論サラリーマン風の人達もみな楽しそうに笑いながら食事を楽しんでいて、そこにはのんびりとした時間が流れていた。

 席を立ってデパートに向かった。ウクレレを背中に背負っている姿がショウウインドウに映っているが我ながら格好良いと思う。

デパートでバックパックを購入

バックパック

 デパートの入口で持ち物チェックがありウクレレのレシートを見せただけで中に入れた。

 カバン売り場あたりでキョロキョロしていると店員が声を掛けてきた。

店:「What are you looking for?」何をお探しですか?

鍵:「I’m looking for a backpack.」リュックを探しています。

店:「It’s just over there. I could take you there. Would you follow me?」それはあちらにあります。ご案内出来ますが、ついて来てくださいますか?

鍵:「Yes, please.」はい。お願いします。

店:「It is here sir.」こちらでございます。

鍵:「Thank you.」ありがとう。

店:「Please look a slowly.」ゆっくりご覧ください。

鍵:「I want a backpack that can hold this ukulele.」このウクレレが入るリュックが欲しいのです。

店:「How about this one?」これはいかがでしょう?

鍵:「Can I put this ukulele in?」このウクレレを入れてみてもいいですか?

店:「Sure. Go ahead.」どうぞ。

鍵:「This size is fine. Please show me other things in this size.」この大きさならいいです。このサイズで他の物も見せてください。

店:「Certainly.」かしこまりました。

店員が5種類程出して見せてくれた。その中で、下にジッパーが付いていて長さを調整できるものがあった。

鍵:「I’ll take this one.」これにします。

店:「Thank you sir.」ありがとうございます。

鍵:「Can you give me a discount?」値引きは出来ますか?

店:「I’m sorry we can’t sir.」申し訳ありませんが出来ません。

といわれて、デパートでは値段交渉は出来ないのだという事を思い出した。

鍵:「Sure.」分かりました。

店:「The cash register is over there sir.」お支払いはあちらになります。

鍵:「Thank you for your help.」ありがとう。

会計にて「How would you like to pay?」お支払い方法は?と訊かれても落ち着いて「I would like to pay in cash.」現金で払いますと答えられた。

「Would you like to wrap it for souvenirs?」お土産用に包みますか?と訊かれて「No, thanks.」と答えることが出来た。

 スクールの先生と買い物での英会話練習を積んだ成果を確認できたし、スタディアブロードは無駄にはならなかったと思えてうれしくなった。

 出口でレシートを確認して貰いリュックにウクレレを入れてから子供服ショップやおもちゃ売り場を見て歩いたが、孫娘へのお土産を見つけることが出来なかった。

ショッピングセンターを後にする前にスーパーに寄って缶ビール2本と酒のつまみとお土産用にドライマンゴーもスーパーの買い物かごに入れた。

一般レジは長い列が出来ていたが高齢者等専用レジはありがたいことに空いていたのですぐに会計を済ませることが出来た。

このレジを使うたびに思うのだがこのような制度は日本にも普及して欲しい。

僕はぐずって母を困らせる子供だった。

ぐずっていつも母を困らせていた

 買い物を済ませて外に出ると夏の日差しが和らいで少し涼しい風が吹いていた。この時期のマニラでは夕方になる長袖が欲しくなるが、私は夏用の物は持ってきていない。ただ一つ持っているのはこちらに来るときに着てきたもので冬用のシャツのみだ。

こういう時にも一張羅いつちょうらというのだろうかと思いながら、子供の頃に服を買ってもらってすぐ着たいのに母から「これはよそ行きだからダメ」って言われてぐずったのを思い出してなんとも言えない気分になっていた。

そう言えば私は良く、ぐずるたちだった。おもちゃを買って欲しくて外出先でいつも寝転がって母を困らせたものだった。

上野動物園に連れて行ってもらった時に遊び疲れてしまい、ぐずって父に肩車をしてもらったこともあった。

母におんぶして貰ったこともあった。父親に肩車やおんぶをしてもらっている時の記憶は、いつもきまって近所の商店街の七夕祭りで笹飾りの下を歩いている場面か銭湯帰りの夕陽が反射して赤い線路が浮かびあがっている場面だった。

銭湯の帰りには父の肩の上で一緒に小林旭の歌の♪赤い夕陽に♪と歌っていた。

そんな時でも2歳上の姉は母と手を繋いで歩いていた。今思えば両親にはいろんなところに連れて行ってもらった。

特に父が初めてカエルみたいな恰好のパプリカという車を買ってからは、頻繁にドライブに連れて行ってもらった。

父の自慢の車は山道を登り切れない時や、寒い朝にはエンジンがかからずに皆で車を押したこともあった。今では笑い話だが楽しい思い出を沢山残してくれた両親には感謝しかない。

父にはあまり親孝行も出来ずに先立たれてしまたったが、その分母に親孝行をしなければと自分に言い聞かせている。

 冬物のシャツはスクールを出る時に着ることとして、ジャンバーとセーターはニノイアキノ国際空港ですぐに着替えられるように、キャリーケースの一番上に入れてある。

 部屋に戻って帰国の為の最終チェックをしている。航空会社の予約確認と機内持ち込み荷物の重量追加と前方座席の契約もスマホで完了しているのを確認した。

 楽譜やスクールでいただいたテキストとお土産とノートパソコンは、キャリーケースにしまった。ノートパソコンはマサシが起業する前に、ユリのご主人達と打ち合わせするために貸してあげたものだ。

私の気持ちとしてはマサシの起業のお祝いにプレゼントしたかったが、彼がすぐに新しいパソコンを購入したことで再び私の手元に戻ってきたものだ。

 

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