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還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ⑱

ウクレレとの出会いですぐに挫折!


 靴を履いて室外に出て周辺を散歩している。今朝とは反対周りで、商店街の脇を抜けて住宅街に沿って歩いている。右手に教会が見えたので、近くまで行ってみると幼稚園を併設しているようだ。

 そこには小さな公園もあって遊具も並んでいる。ブランコにすべり台にシーソーなどで、子供たちが遊んでいて、傍らでお母さんたちが会話を楽しんでいて日本でも良く目にする光景だ。

 お母さんたちの笑顔が輝いている。多分富裕層なのだろうと考えながら先来た道まで戻ってまっすぐ進むと、テニスコートが見えてきた。そして、その隣にはバスケットボールのコートがあり若者たちがゲームを楽しんでいる。

バスケットコート

  遠く離れたところからのシュートやダンクと呼ばれるシュート決めてバスケットゴールのリングにぶら下がっている選手もいる。それぞれが着ているユニフォームはバラバラだから試合ではないらしいが、本格的なバスケットボールの試合を見た事のない私にとっては、プロ並みに上手だと感心させられた。

 スクールの先生の話だとバスケットボールはフィリピンで一番人気のあるスポーツで子供から大人まで競技者人口は多く、無料で使えるコートが沢山あるそうだ。そして、プロスポーツとしても大変人気があるそうだ。

  ベンチに座って見ていたが1時を過ぎた頃には選手たちがコートからいなくなった。リュックからウクレレを出して「結婚しようよ」を弾き語りしてみた。この曲は、吉田拓郎よしだたくろうのヒット曲であり私が唯一楽譜を見ないでも弾ける曲だ。

 暗譜するために何度も繰り返し練習したし、コードを覚えるために楽譜を手書きした曲だった。私はウクレレと出逢ってまだ一年だ。きっかけは母から36回目の結婚記念日に貰った1万円だった。

 同居している私の母はいつからだったか覚えていないが、私たち夫婦の結婚記念日には花束を用意してくれていた。しかし、母は85歳を過ぎたあたりから一人で買い物に行けないので「2人で美味しい物でも食べてね」とお金をくれるようになった。

36回目の結婚記念日おめでとう!

 この時は2万円が入ったのし袋には “36回目の結婚記念日おめでとう。私は今年で米寿になるけどもう少し面倒を見てください。よろしくお願いします” と言うメモが添えてあった。

 2人で1万円ずつ分けて折角だから形に残るものをお互いに買おうと連れ合いと話し合った。そして何を買おうかと悩んだ挙句に、つい出来心で手にしたのがウクレレだった。今までに楽器を手にしたこともないし音符も読めない。チューニングという言葉も知らなかった。何故ウクレレを買ったのか今でも理由が分からないままだ。

 近くのイオンモール内の楽器店にてセット価格1万円で購入したのだった。セットの中身は、ウクレレと初心者の為の本、ウクレレを入れるケースと張り替え用の弦とチューナーだった。本にはご丁寧にCDが付属されていた。

  出来ることなら弾けるようになるまで黙っておきたかったが音の出るものだから内緒にすることも出来ずにその日の内に家族に報告。家族が驚いたのは言うまでもない。それからパソコンで動画を見ながら練習を始めた。ドレミファソラシドでメリーさんの羊を練習。

 リズム練習は、ジャン ジャン ジャン ジャンという4ビートにジャンジャジャンジャ ジャンジャという8ビートだが、まったくついて行けないし楽しくない。そばで寝そべっている愛犬ソックスも私がウクレレを手にすると、部屋からそそくさと出て行ってしまう。

 これもパブロフの条件反射なのかと苦笑いしてしまったが、それでも家族の手前直ぐに挫折するわけにはいかないと無料の体験レッスンにトライしてみた。Skypeによるレッスンだ。プロの先生から持ち方から右手の親指の腹で弾くやり方を教えてもらった。個人レッスンは「上を向いて歩こう」が初心者向きで簡単だからこの曲から始めましょうと、TAB譜というものをメールに添付してくれた。

タブ譜

 プロの説明としてはTAB譜というのはウクレレの4本の弦を図にして、4本の線にフレッドの数字を振ったものだそうだ。何のことか良く分からなかったが、とにかく動画を観て自主練してみてくださいという事だったので、プロが演奏している動画をスロー再生しながら何度も観た。

ウクレレはフラだけじゃないって初めて知った

 流石にプロがソロ弾きで模範演奏をしてくれたのを観ると憧れる。これがウクレレでもフラの曲以外に歌謡曲が弾ける事を初めて理解した瞬間だった。ソロ弾きだと歌を歌わない為に弦の響きが美しい。しかし、間違って押さえると曲が台無しだ。

休符は難しい

 それにメトロームを使って演奏スピードを常にチェックする必要があるそうだ。プロの動画を観ながら何度か一人で練習してみるが難しい。全音符に4分音符、そして8分音符に休符、音符によって弾く長さが違う事にも辟易へきえきした。それに付点2分音符に至っては怒りさえ覚えた。

 

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