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明日方舟4.5周年特別PV『サルゴン:万王の王』翻訳

翻訳


欢迎你们,追寻传说而来的客人
歓迎するわ、伝説を求める旅人さん


今天的主角,是被尊为“沙阿”的过去与未来之王-路加萨尔古斯
今日の主役はルガサルグス、「シャーハンシャー」と讃えられた過去と未来を統べる王の伝説よ


吾主年少便继承大统
わが主君は若くして王位を継承した


他头戴宝冠誓要成就伟绩丰功
王冠を戴き、偉業をその手に宿すことを誓ったのだ


三个阿斯兰帕夏起兵发难
三人のアスランのパーディシャーは反乱を起こし


臣民切心痛恨他们的凶残
臣民は心からその凶行を憎んだ


双方大军决战山坳
両軍は峠で激突したが


天命昭昭
天命は明白だった

少年沙阿大破三狮匪盗
若きシャーは賊たる三頭の獅子を討破った


他战无不胜
彼は無敵だった


身影势与天齐,他心澄迹清
その体躯は空に匹敵し、その心は空のように澄みわたり


德行传扬大地
そして、その徳は大地を覆わんとしていた


沙阿的王座摆在大殿中央
シャーの王座は宮殿の中央にて君臨し


来自远方的子民激动地将他钦仰
遠方より来訪した人々は口々に彼を讃えた


沙阿的智慧无与伦比得以洞悉有关时间的奥义———
シャーの比類無き知恵は時の神秘にまで迫り得た――


“不是时间追赶着万物,直至消亡;而是万物在消亡之中,产生时间。”
「時は万物の滅びに至らしめるものではなく、万物の滅びから生まれ出ずるものである。」


他将思绪整理,他将稿纸归一
彼は自らの思索を整理し、一冊の著作として


人类的生活才有了历法和条理
人類に暦と秩序をもたらした


沙阿前往远方
シャーは遠征を行い


迎接那梦魔大王哈兰杜汗

  1. ナイツモラの大王ハランドゥ・ハガンを迎え撃ったが

  2. ナイツモラの大王ハランドゥ・ハガンと接触したが


两位君王一见如故相见恨晚
二人の王は一目で意気投合をした


“阁下既为征服而来,何不与我一道向南?"

  1. 「友よ、征服を求めるのならば共にさらに南へと征こうではないか」

  2. 「友よ、侵攻を止め共に南へと征こうではないか」


ここの発言はシャーのものかハガンのものか判明していないため二つの説を用意した

  1. はサルゴンがハガンの征服を受け、シャーが迎撃時にハガンに対してサルゴンより南のフェーンホットランドへの遠征を提案した説

  2. はシャーの遠征軍の侵攻を受け、ハガンがシャーに対して北への侵攻を止めて南の災厄に立ち向かおうと提案した説


不可言说的大敌阻挡在前
説明不能の存在が征服の旅路に立ちはだかったが


无所畏惧的英雄撕裂怪诞
恐れを知らぬ英雄達は化物を八つ裂きにし


大地崩毁,山河断裂
大地は崩れ、山河は引き裂かれた


可惜时过境迁
だが惜しいことに時は過ぎ去るばかりであり


那些过去不得一瞥
過去を垣間見ることは誰にも出来ないのだ


只有历史变成传说
ただ歴史は伝説と化し

传说汇此帝王之书
この帝王の書にまとめられていくばかりである


怎么样?我摘录的这几句诗还不错吧!
どうだった?私が抜粋した詩句は悪くなかったでしょ!


父亲说我们只要记录伟人与帝王就好,但我却不这么想
父はただ偉人や皇帝のことだけを記録すれば良いと話していたけど私はそうは思わないわ


你问为什么?
どうしてかって?


因为啊
それは

沙阿曾经亲口对我说
シャーから直接言われたからよ


“你们要关注那些让英雄成为英雄的——历史的背面。”
「何が英雄を英雄たらしめるのか――お前は歴史の裏側に焦点をあてるのだ」ってね

元動画


注釈

サルゴンの称号について

 今回出てきたサルゴンの王ルガサルグスの称号は「沙阿」(Shāā)とされ、これはペルシア語で王を意味する「シャー」(Shah)から来ていることは明白だ。
 また反乱を起こした3人のアスランの称号は「帕夏」であり、これは大陸版でサルゴンの王、領主ら指す際に用いられてきた。そして、日本版ではこれを「パーディシャー」と訳している。しかし、「帕夏」(Pàxià)の音訳は
オスマントルコ語の「パシャ」となる。おそらくこれはYostarの翻訳方針でサルゴンの言葉としてペルシア語が採用され、「帕夏」の訳をパシャの語源の一つの説であるペルシア語のパーディシャーとして使うことになったのだろう。

 ここで問題が発生する。「パシャ」はオスマントルコなどで地域太守などの高官に与えられる称号であり、日本語訳としては領主ということもできる。
 それに対しパシャの語源とされる「パーディシャー」はシャー(王)を超えた存在、つまり大王や皇帝を意味する言葉としてアケメネス朝ペルシアの滅亡後よく用いられていった。例としてオスマン帝国ではスルタンと並んで皇帝をあらわす語として用いられていた。
 最後に「シャー」についても見ていく、これは最も著名なペルシアにおける君主、王の称号だ。しかし、同時に最初のペルシア帝国であるアケメネス朝の時点において「シャーハンシャー」というシャーの上の称号が存在していた。

 つまり、今回のPVをそのまま「沙阿」を「シャー」としてしまうと「シャー」(王)<「パーディシャー」(大王)となるので実際の上下関係と異なり、ルガサルグスは反乱を起こした三人のアスランよりも称号の格は低いことになってしまう。

「沙阿」をどう訳すべきか

 そこで今回「沙阿」をどう翻訳すれば良いか悩み調べたので紹介する。
 この特別PVの題は『サルゴン:万王の王』であり、生放送の最後に公開された『RETRACED TERRA』では「King of Kings」と表示されている。このことから、ルガサルグスのモチーフはペルシア帝国の諸王の王、シャーハンシャーであると考えられる。

 そうした場合「沙阿」の翻訳案としては

音訳:シャー

  1. シャーハンシャー

  2. 諸王の王

  3. 万王の王

  4. 大王

  5. 皇帝

  6. パーディシャー

以上の案の採用の是非の理由は

  1. 通常の文章において主語、目的語として用いた際に冗長に感じるが、後述の理由により対処可能

  2. 慣用的すぎて、通常の文に馴染まない。

  3. 上に同じ

  4. シンプルであり、カギ括弧でくくった際に特別感が出るが、PV内でナイツモラの大王が出てくるため断念。

  5. テラにおいては近世、近代における帝国主義と絡めて用いたい。古代王朝で用いる場合はできればローマと中華に絞りたいという考え。

  6. 既に使用済み

となる。

皇帝に関しては私情が強いためあまり参考にならないとおもうがこのように考え今回の翻訳では唯一の「沙阿」を「シャーハンシャー」とし通常の沙阿をシャーと訳した。これは、ペルシア帝国においてシャーハンシャーという称号を省略しシャーと呼んでいた記録はあるためだ。
 アケメネス朝ペルシア後から使われるようになったパーディシャーもシャーハンシャーと同格の称号だが、以後のペルシア帝国でもアケメネス朝への敬慕もありシャーハンシャーの方を重要視していた。

注:省略云々は先述した、Shahのwikipediaと沙阿の百度百科事典で記述されていた。

ガウェインについて

 シージと共にある獣主のガウェインはシージのYモジュール「誓い」にてハガンとの遠征を振り返っている。

ガウェインはかつてルガサルグスと共に、今ではフェーンホットランドと呼ばれている戦場に馳せ参じたことをかすかに覚えている。

血気盛んな男を背負い、隣を走るナイツモラのハガンと共に、遠方の風砂目掛けて突撃していった時のことを――

そして、皆あの場所で命を落としたという知らせをルガサルグスの娘へと持ち帰った時の、己のたてがみが涙で濡れるその感触を覚えている。

モジュールY「誓い」

第2回生息演算(楔形文字について)

 ついにアークナイツのイベントタイトルにあたる部分が楔形文字となるという衝撃的な事態のためどこまで理解できるか頑張ってみることにした。

 まず、どの楔形文字が使われているかの特定までは一覧表を元に進め、モヤで見えなくなっている文頭の数文字(2文字?)以外は判別出来た。

Unicode内に存在する楔形文字一覧

 文の意味の推測には知識と調査能力が足りていなかったところに、Discordのアークナイツ考察サーバー「バベルの図書館」で中東地域の言語を専門とされている方と繋がっている方から情報提供を受けたため、ここからはその方による内容の推測、意見をまとめていく。

??𒉅𒊍𒁮𒅎𒉌𒈲𒁺

 楔形文字はそもそもシュメール人によって生み出された文字であったが、この文字で表わされた言語はシュメール語の他にアッカド語などもあり、広く長い間使われた古代西アジアの公用文字となっていた。
 シュメール語の特徴としては膠着語であることや同音異義語の多さが表意文字であることがあげられる。


 今回のこの文字群は文法的特徴からシュメール語ではと考えられるそうだ。そこでこの文字群をシュメール語とした場合、かなり確実性高く読み取れる内容は「獅子の帰還」となる。
しかし、それ以外の単語の意味をとろうとするとそれでも文法上おかしなものになっているため、単語の意味を一つに絞ることは難しいとのことだ。

 最後にこの文字群がシュメール語だと仮定し、さらに文法的に成立し得ない状態下での各単語の日本語としての意味をまとめてもらった。

  1.  𒉅 :不明

  2.  𒊍 :獅子

  3.  𒁮 :(配偶者)

  4.  𒅎 :(粘土)

  5.  𒉌 :(早く)

  6.  𒈲 :蛇

  7.  𒁺 :来る = comeの可能性がかなり高いが前部分の文法によってはgoになる可能性がある。

単語としてかなり可能性が高いのは「獅子」「蛇」「来る(行く)」、それ以外の文字がこの意味である可能性は低く、他の文字の変形の可能性もあるようだ。

 ただこの文字群をシュメール語ではなくアカッド語として読んだらさらに文法的におかしな事になるだろうとのコメントをいただいた。


 区切り線の中の内容が協力してくださった方の言葉を整えたものとなっている。

 全てを把握することはできなかったが、𒊍がアッカド語になるとクマの意になることも考えるとPVとの関連を考えてもシュメール語である可能性は高そうだ。

最後に、今回の楔形文字読解を手伝い協力してくださったお二方はありがとうございました。



まとめ

 このサルゴンの物語と生放送のラストで公開された年表、そして以前公開されたヴィクトリアの物語を見るとテラの大きな歴史が見えるような気がしてとても楽しかったので、いろんな方のテラ史の妄想がみたいです。

RETRACED TERRAの文字起こし、翻訳記事

ヴィクトリアの物語

第2回生息演算の項で情報提供元として言及したアークナイツのDiscord考察サーバーの招待リンクです。

管理者が考察をするドクターが増えることを望んで作ったサーバーなので、ただアークナイツの感想、疑問、思いついたプチ考察を書きにきてくださるだけでもうれしいのでお気軽にご参加ください。

最後に

感想、質問、間違い、訂正などがあればお気軽によろしくお願いします。

更新

2023/10/24 21:30
第2回生息演算の箇所全面改定

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