BGM / YMO
かつてPerfect Loveliesというサイト名で音楽レビューサイトを試みていた時のテキスト。
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美しくロマンティックなアルバム。内に向いたキチガイの音。
2度目のワールドツアーを終え、匿名性の高いユニットのつもりだったYMOのメンバーにパーソナリティが要求される様になり、それならぱ、と個々の資質を露呈した内容。それでも各々のソロアルバムとは違った結果に細野は「YMOという第4の人格が支配している」と。
坂本の「B-2 UNIT」以降ということもあり、音色はかなり近い。が、もっと整理されポップスのフィールドに収まった印象は受けるが、とてもオリコンチャートで上位に食い込んだとは信じられない病んだ音。YMOというブランドゆえのセールスと考えると、個々の内省的な楽曲群という内容はすごくシニカルなアティテュード。
アルバムのTRACK1~3の各々の楽曲がアルバムのトーンを決定付けている。高橋の「BALLET」は湿った感傷とシニカルなロマンティシズムを。坂本の「MUSIC PLANS」は諦念を伴った攻撃性と美しさを。細野の「ラップ現象」は独特のグルーヴ感とアイロニカルなユーモアを。
分かりづらいのは承知の上で。解散ツアーをモチーフに制作された映画「プロバガンダ」。ツアーコスチュームは別として、あのライヴ以外の映像を抜き出してサントラをつけるならこの音。デカダン、耽美、そしてある種の清廉さ。
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