宇多田ヒカル「君に夢中」

宇多田ヒカルさんは本当に凄い。最近、またそう思うようになりました。もちろん私が言うまでもなく、前からずっと凄い人なのですが「君に夢中」を聴いてさらにそう思うようなりました。

宇多田さんは、ドラマや映画などのタイアップ曲を作るのがとにかく上手い。エヴァンゲリオンをはじめ、数多く手がけられていますが、どれひとつ外れた曲はないと言い切れるほど映像作品に密接した曲を作り上げています。そしてそのどれもが名曲という仕上がりなので、プロデューサーにとっては、最も主題曲を依頼したい音楽家の頂点にいる人ではないでしょうか。

比較するのもなんですが、今期のドラマでいえば「最愛」と「日本沈没」を比較すればその差は歴然でしょう。宇多田さんの主題曲が使用されている「最愛」はまさに王道中の王道的主題歌。ドラマをうまく盛り上げる役割を安定して果たしており、上手いなぁと唸るしかありません。

私もドラマ「最愛」でこの曲を知ったわけですが、本当に驚いたのはYou Tubeでこの曲をイヤホンで聞いた時です。

とにかくサウンドが凄い！のです。

何が凄いのか詳しく語るだけの技量は私にはないのですが、とにかくベースのうねりが気持ちよく、昼間、街中を歩いているときにイヤホンでこの曲を聴くと、白昼夢を感じるようなめまいを覚えるほどです。なんでしょう。このサウンドは。

そして思い出したのが、エヴァンゲリオンの主題曲である「One Last Kiss」。この曲も神懸っていましたが、初めて聞いた時、得も知れぬ陶酔感を感じました。その時は映画との相乗効果だろうと思っていたのですが、改めて聞いてみると「君に夢中」と同じ匂いが…。

ググると、同じプロデューサーの手によるものだったのですね。クレジットを見ると、A.G.Cook　と書かれていますが、この人は何者なのでしょう。この先はまだわからないのですが非常に気になってます。

とまあ、宇多田さんの作曲術とプロデュースワークは本当に素晴らしいなと思った次第です。なんとなく一時期のビョークを思い出したりもするのですが、今となると、ビョークはどこか遠いところにいってしまった感がありますが、宇多田さんは、全キャリアにおいて並々ならぬポップセンスを発揮していて、新しさを感じさせながらも上質なポップ感を作り出している事が本当に素晴らしいと思います。新しいアルバムにも期待です。