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Sisterleeの書評記事

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2020年6月の記事一覧

真実かステレオタイプか フェミニストは『女帝』をどう読んだか

『女帝 小池百合子』(以下、『女帝』)を読んで、私は非常に混乱した。小池の非情で非倫理的な言動をいくつも見せられたにもかかわらず、小池が嫌いになれなかったからである。 小池が作り上げた魅力的な「嘘」の数々 『女帝』は、小池が作り上げ、権力の座に駆け上がるために利用してきた物語が虚構であることを、緻密な取材で明らかにする本だ。同書で紹介される、小池がついてきた嘘をいくつか見てみよう。 「カイロ大学を卒業した初めての日本人女性」という経歴を売りに小池はマスコミ業

「女性差別は存在しない」に黙った私が、反論できるようになるまで

「ふーん、それは大変だったね。でも男性も女性からセクハラを受けることだってあるよ」 これはまともで善良でいい友達の一人だと思っていた男性に、私が夜道を歩いていた際におかしな男に後を付きまとわれたことを愚痴ったら返ってきた言葉だ。 その後、彼は「確かに女性に不利な部分はあるかもしれないけど、今は女性も男性と同じように働いてるし、女性だからこそ得なことだってあるよね? 男が損することのほうが多い気がする」と続けた。 明らかな悪意を持って「女性は差別されるべき!」などと