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番外:日陰者

私の性分としては、基本的に人前に出るというよりは縁の下の力持ちタイプであると中学生のころから感じていた。

どちらかというと

俺が!俺が!

というアピールタイプの人間が苦手であり、ダチョウ倶楽部並みに

どうぞ、どうぞ

と譲ってしまうタイプの人間であると自己分析していた。

高校生の時に、自衛隊は日陰者であることを知った。
それは、1957年(昭和32年)2月に行われた防衛大学校第1回卒業式での吉田茂総理大臣の訓示を本で読んだからだ。

「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく、自衛隊を終わるかもしれない。

きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。

しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。

言葉を換えれば、君達が日陰者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。

どうか、耐えてもらいたい。

一生御苦労なことだと思うが、 国家のために忍び堪え頑張ってもらいたい。

自衛隊の将来は君達の双肩にかかっている。

しっかり頼むよ。」

この訓示を読んで、もしかしたら私の性格は自衛隊にマッチするかもしれないと思った。

結果として約17年間に渡って自衛隊で勤務したが、最後まで勤め上げることは出来なかった。

しかし、微力ながら日陰者として国家防衛を支えることができたことはちょっとした誇りでもある(嫁は定年まで勤務しなかったことを理由に全く評価していないのが難点)。

私が入隊してから日陰者ではなくなっていた自衛隊・・・自衛隊が日陰者になる日がくる時は日本の安全保障は安定している。

その時こそ、日本国民が安心して暮らせる時であると私は信じています。

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