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お風呂の前に。

今朝は8時台から「私は在宅ワーカー」「今日は午後から仕事」と自分に言い聞かせて女優になる、というひととおりの儀式を終えての雪かきである。
今日はさらに「締め切りに間に合えばいい仕事なんで、時間の融通が利くんです」という新規の脳内言い訳が追加された。
これは実装されると嬉しい言い訳だなあ。
何度も口にしていることは実現する、とも言います。
時間の融通が利く仕事に就きたい。

雪かきを終えたら、1時間半はかかっていた。
朝から疲れた。
ニートなので、今日の仕事は終わりとする。

さて、仕事が終わったら風呂である。
私は隙を見ては朝風呂に入る人間である。
土日祝日はもちろん、お盆やゴールデンウィーク、年末年始は朝風呂に入っている確率が高いので、午前中に姿が見当たらなければ風呂場を探すとよい。
ちなみに私はおひとり様である。
私を探してくれる人は、この家にはいない。

ニートになった今、毎日が朝風呂チャンスデーである。
ちなみに朝風呂に入った日は、夜は入らないし、前日の夜に風呂に入った場合は翌朝は入ることはない。いや、入ってはいけないのだ。
これは贅沢を戒めるための、私の小さな小さな掟である。
朝風呂の頻度があがる、ということは、暇がある=退職した、ということなのだ。こういう時期は楽しみと節約をセットで考えることが生き抜くコツである。

だいたい、そんなに頻回に風呂に入ったら乾燥肌が悪化する。そう、私は万年乾燥肌。
まだ暑さが残るころに受診した皮膚科のクリニックで、医者から「乾燥しすぎで爪の根本がないよ」と笑顔で言われた2023。
私の手は、爪も含めて洗剤と乾燥とが原因の炎症で大ダメージを受け続けているらしい。乾燥しすぎでも炎症につながるそうだ。知らんかった。

「わかっていると思うけど、洗剤使う時は手袋してね。やってないと思うけど。そして乾燥にはこまめにハンドクリーム。これは爪の根本にも意識してつけることね。だけどもう皮膚が炎症起こしてるから、今は薬を使う方がいいね。クリーム状の薬だから、寝る前にはハンドクリームは塗らずに薬を手にたっぷり塗って、丁寧に塗り込む。毎晩やる。」
テラテラした地肌に白いマスクからこぼれる黒いおヒゲがまぶしい、松崎しげるの遠い親戚みたいな豪快な風貌の医者はニッコニコしながら診察してくれた。

その日はもともとは指の傷が化膿したのを診てもらいに行っていたのだが、しげるは「化膿止めは出すんだけど、乾燥肌用の薬はどうする?いらない?」と聞いてきた。本来の受診目的ではないものの、手の乾燥はほぼ年中悩んでいたし、指の傷だけではなく手の状態もちゃんと診てもらえてラッキー、と私は両方の薬をお願いした。

余談だが、時々「一回の診察ではひとつのことだけ聞いてください、診察の時にあれもこれもといろいろ聞かないでください」という医療機関があるのはどういうわけだろうか。
とあるクリニックで、何度かこの但し書きのようなセリフを窓口からも看護師からも言われ、なんだか感じ悪いと思って私は病院を変えた。
そこは実際に診察室でドクターに「もうひとつ気になるところがあるんですけど、診てもらえますか?」と聞くと「いいよ、どこ?」とすぐに診てくれるので、ドクターの意向とスタッフの意向が違うのだろうかと思う。
まあ流行っているクリニックで待ち時間もすごいので、私が転院したって別に痛くもかゆくもないし、私も別に困っていないのでよしとしよう。

日本の医療費について考えたことはあるだろうか。
高額療養費、特定疾患、高度医療などなど、日本の種々の医療制度は国民を包み込むような形で経済的に守っているように見える。
日本中どこでも、保険証一枚でいつだって病院に行ける、なんて国は世界中で滅多にお目にかかれないのだ。
なんてありがたいことでしょう。
一回の受診で複数の質問をすることに制限をかける病院は、そりゃ何度も来院してもらえれば、そのたびに別病名で初診にするとか、処方料も別に取れるとか、お金的に潤うからそうしてほしいだろう。
詳しい保険点数の計上の仕方はわからないので、間違ってたらごめん。
でもそれは医療保険制度を逼迫させることにつながるんじゃないのかしら。
病院が儲かる=医療保険からどんどこお金が支払われる、ということだ。
そして健康保険料が上がっていく。今度は健康保険に入らない人が出てくる。そうすると保険の財源が減っていき、皆保険制度は崩れていく。

皆保険制度、フリーアクセス制は尊い。守り抜かねばならぬ。
私が皮膚科で指の傷と手の乾燥を一度に診てもらうことで、しげるは損したもしれない。
だが、しげるは私から「一度に複数診てくれる良い皮膚科」という信頼を得、そしてひっそりと皆保険制度を守ったのだ。

ヒーロー。しげるはヒーローだ。町の中の名医、しげる。

「手袋?して寝てもいいけど、夜中にどっかいっちゃうでしょ、あれ」と答えていた、しげる。

「あれ、朝になったらなくなるよねー。あるある」って笑うところだと思っていたのに、笑い無しで静かに大真面目に答える、しげる。

当面皮膚科はしげるの皮膚科に行くことにした。

そうこうしていたら昼になっていた。
昼から風呂に入ったので、今日は昼風呂。悪くない。


ありがとうございます!頑張って生きていきます!