見出し画像

コナイは片されながら。

ゴドーを待ちながら、という有名な戯曲がある。
私は観劇したことがないので内容はわからない。
これにリスペクト&インスパイヤーで作られた「ゴドーは待たれながら」という、いとうせいこう氏の戯曲がある。
こちらも観ていないのだが。
この「待ちながら」「待たれながら」の立ち位置を転換させるという技が、私にはなぜだかとても心地よく、妙に印象に残っていて今の今まで記憶している次第である。

ところで、冷凍庫の中のものを片付けているのである。
うちの冷凍庫は魔法の箱で、なんでもどんどこ入るのである。
そんなわけはない。
冷凍庫は魔法の箱ではない。
いっぱいいっぱいに詰めれば冷凍に時間がかかるし、長期間冷凍していれば当然冷凍焼けする。
もう一度言う。冷凍庫は魔法の箱ではないのだ。
にもかかわらず、我が家のシャアザクことSHARP製の赤い冷蔵庫の冷凍庫には(ややこしいなあ)大量の食品が入っていて、いつのものか、どういう食品なのかもわからない包みだらけなのである。
そこで、ニート期間を利用し、かつ節約も兼ねて冷凍庫の食材を使って整理することにした。

昨日も謎の包みを解凍してみた。冷凍されている形状から推察するに、なにかのペーストと思われる。さっそくお皿に移し冷蔵庫へ。夕食支度の頃には解凍されていた。
観察するとオレンジ色でなにか粒々としたものが入っている。少量舌にのせて味わってみると、しょっぱくて海の香りがするような。
うん、これウニだね。オレンジだもの。ウニバターだ。
そんなもの買ったかなあ、と思ったが、そういえばカルディでそれっぽいものを買ったような記憶がある。
調べてみると、確かにカルディのオンラインショップにウニバターはある。きっとこれを買って、一人暮らしなので使い切れず冷凍したのだろう。
さっそく夕食のパスタに加えてみる。
簡単にウニバターソースにして、野菜はサラダでとることにしようか。
茹で立てのパスタに解凍ウニバターを和える。バターのコクとウニの風味で、シンプルだけどおいしいバスタに仕上がるはず。さっそく味見したところ、あれ。
ノー油分。バターは?バターの味がしない。ウニの味はするけれど。
なんだこれ。そういえば、ウニバターなんて買ったっけ?と思ったことを思い出す。
購入履歴を確認する。もちろん脳内のだ。
うーん、うーん…ウニバターは買ったことがない。なんか、ウニぺースト的なものは買ったような気が。それだ。ウニペーストだ。バターじゃない。
ということで、しかたがないからバターと醤油を追加して、サラダ用のキャベツもレンチンして加えて、それらしく仕上げてみる。
その日の夕食はワンディッシュで済んだ。
翌日はウニバター改めウニペーストと、冷凍庫出身の半年前に賞味期限が切れているシーフードミックスを加え、豆乳も少し加えてクリーミーなパスタにして片付けたのであった。

こんな具合に、なんだかよくわからないものを食べて片付けている。
冷凍庫内は少しずつスペースができている。
棚でも衣装ケースでも引き出しでもそうだが、不要なものを処分してスペースができているのを見ると、プラケースなんかも入れて、使いやすい冷凍庫にしよう、という意欲が生まれる。
これまでの私の生活を新しく組みなおすためにも、片付けは今、必要なのだ。今のうちに、住みやすいお気に入りの生活にしなくては、そのために。

庫内は片されるのである。 (片す→片付ける、の意)

ところで、書いていて思ったのだが、ウニバターの粒々ってなんだろうか。
あれはタラコ的な粒々ではなかろうか。
ということで、もう一度調べてみたら、あったあった、ありました。
ウニバターじゃなくて、たらこスプレッド、でした。
そうでしたそうでした、それは確かに買った覚えがある。
あれ?「つぶつぶたらこと焦がしバターのハーモニー」って書いてある。
バター…


まあいいや。ハイカロリー万歳。

ありがとうございます!頑張って生きていきます!