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忖度しない私が出来るまで④

続きです。


はじめてのお花企画を成功させた後
三浦さんはちょうどテレビに出始めて
知る人ぞ知るマイナーなアーティストでは
なくなっていきました。

私はその間プライベートを全力で楽しむため淡々と仕事をこなし
三浦大知のファンであることも
ほとんど会社の人に口にしませんでした。

ただお花企画という大仕事を終えて
ひと段落した私は
若干の燃え尽き症候群で気が緩んでおり
ふとした瞬間に会社の人に
三浦さんの話をしてしまったのです。

するとその人は
私も好きなんですよ〜
 かっこいいですよね。大知くん。

と言ってくれて
久しぶりに職場の人と本音で話せました。

そして表情が柔らかくなった私は
いつのまにか円形脱毛も治り
ある日ギクシャクしていた上司から
言われました。

SIS変わったよね。 
 昔は融通効かなかったのに。


そこから私の中で冷たく感じた上司と
少しずつ打ち解けていきました。

その上司はおそらく他の人に対しても
だいたい初対面の印象が悪く
無愛想に見られがちですが
ひとたび仲良くなると温かく
人望に厚い人でした。

さらに指名で来るお客様も多く
長期の信頼を勝ち得るのがうまい人でした。

表面上は冷たく接するも
ずっと私のことを見てくれていました。

さらには私が忖度して
バースデーケーキなどを買ってきても
本当は気持ちが入っていないことも
その上司はお見通しでした。

思えば私は今まで
忖度して気持ちのこもっていないプレゼントを人に対してどれだけしてきたでしょうか。

惰性で行われる会社の飲み会には
極力参加しないその上司に対して
私はどれだけ
内心「帰りたいなぁ」と思っているのにも
関わらずその気持ちを無視して
惰性で二次会に行ったでしょうか。

それこそが金も失い心もすり減る
無駄なお金の使い方だと
上司はその背中で教えてくれました。

「忖度」という言葉が流行ったのも
義理チョコに問題提起され出したのも
そのずっと後でした。

時代が追いつくよりずっと前に
私を「べき論」から解放させてくれた
その上司は今となっては
私の一番の理解者になっています。

私も昔の自分のようにがんじがらめになっている若者や年配者対して
それを教えてあげられる存在になりたいです。

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