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11月の映画

忙しいって言葉があまり好きじゃないけど、割と忙しく暮らしていたのかもしれない。12月に入るとさらにそれが加速した。

11月にいい映画を2本見ました。すごく個人的には感じるものがあったわけですが、鑑賞から日が経つと、徐々に感じていたことが薄らいで、よかったという感想だけが残る。細かな感情はやはり文字にして残しておかないとな~ということで、今から思い出しつつ感想を書きたいと思います。

1.TOVE

ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの物語。「彼女は、いかに自由を愛したのかー」があおりになっています。が、私は自由を愛した物語というよりは、人を愛した物語だと思った。

SING SING SINGを聞きながら激しく踊るトーベから映画は始まる。そのシーンが、事前情報皆無の私にとっては結構衝撃的だったわけですが、物語が進むにつれて、そのシーンの意味が分かります。この映画では、スウィングジャズと激しく踊るトーベの姿がとても印象的でした。トーベの激しい心情と情熱が静かな物語の中で、ダンスと音楽で痛いくらいに伝わってきました。ムーミンは、自由に生きたいトーベの願望と理想の形なのだろうと、それを叶えたのがムーミンたちだったのだろうと思った。トーベはヴィヴィカを心から愛していたけど、ヴィヴィカが愛していたのは、それこそ自由だったのだろう。ヴィヴィカを愛して知った喜びも痛みもすべてがトーベに必要だったのだと思う。長らく想っていたヴィヴィカに別れをいうシーンがとても印象的でした。(台詞を忘れてしまったので、もう一度みたい…)たぶん、ここでようやくトーベは自由になったんだろうな、と思う。

登場人物も魅力的なキャラクターばかりで、恋人だったアトスや両親、みんな好きにならずにはいられない映画でした。戦後の時代の、芸術と酒とパーティーと音楽。楽しいことばかりではない時代だからこそ、自由さへの渇望と人々のもつ情熱が今の時代よりも輝かしい時代だったのかもしれない。最後は実際のトーベが踊る映像に合わせてSING SING SINGが流れる。エンドロールまでかっこいい映画でした。


2.劇場版「きのう何食べた?」

すいません。めっちゃよかったです。友達が先に観に行ってて、「すごい!よかった!」って言ってたんですが、まあ、心のどこかでそんなに期待してなかったんですよね。(失礼)

ドラマを見ていたので、映画でどうやるんだ…?と思っていたんですが、とにかく脚本と構成がとてもよかったです。見終わったあとに、天才では??と思いました。小説を書く身としては、もうほんとうに構成が参考になりすぎるほどよかったです。2時間もある映画だからできる構成になっていたし、伏線の回収も見事だし、最後にテーマが繰り返されて立場が逆になる感じの構成がほんとうに大好きなので、映画館で拍手したかったくらいです。きれい!見事!本当にこの言葉に尽きる。

映画では、もちろん食事にもいつも通り力が入っていたんですが、ドラマよりも二人の内面や、彼らを取り巻く人々たちの気持ちとか、ヒューマン的な部分により焦点が当てられていてよかったです。ケンジの誕生日にはじまり、シロさんの誕生日に終わる物語の中で、ケンジとシロさんが、夜の街を歩きながら「でも俺達だけじゃだめなんだ」(うろ覚え)って幸せについて、言う台詞。お互いの家族や友達、それらを悲しませてまで自分たちだけよければいいわけじゃない。重みとやさしさの詰まった言葉だったな、と思いました。というか、もう最初の京都旅行のところでケンジのこと考えると泣きそうだった私にとっては、救いというか、本当に尊いの一言で…。

あと、個人的にこの映画で好きでたまらないのは、アドリブの多さ。西島さんの素の笑いが本当にかわいくて仕方なかったです。


ということで、11月の映画ですが、勝手にテーマをつけるなら「愛」だったかと。物語の数だけ、愛の形がある、そう思った映画たちでした。

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