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カノープスとドルチェが出会う一時間前に、ドルチェと手分けして「きょう」を探すため、月兎…
長い毛の高齢な雌兎だとわかり、スピカは声をかけました。 「こんにちは、おばあちゃん。こ…
デネブはちらりとスピカに目をやりました。 「事情を詳しく話しなさいよ」 スピカは素直にこ…
二匹はデネブがいた草原に戻っていたのです。 「ありがとう、おねえさま。僕はもう地上にい…
カノープスは、急に黙ってしまったドルチェを心配そうに見つめています。 ドルチェは安心さ…
初めてドルチェに会い、大勢のシャチと共に天に昇るシャチを見送ったことを思い出し、カノー…
ドルチェは苦笑いしました。 「ごめんごめん、肝心なことを教えていなかったよね。これ、きょうちゃんが描いた自画像。そっくりだから」 一枚の絵を見せられて、カノープスはうなずきました。 「とってもシャチに興味があったんだね。間違いなく海辺にいるよ。僕、あっちを探すね」 「私は向こうへ行ってみる」 二匹のうさぎは反対の方向へ走っていきました。
一生懸命探しているうちに陽が暮れてきました。 「いそがなくちゃ。ドルチェの方にいたのか…
きょうちゃんは、意気込んで言いました。 「シャチって、すっごくジャンプするんでしょう?…
「天に昇るときは、塔だってすり抜けるのよね?」 目を輝かせるきょうちゃんに、カノープス…
きょうちゃんは、真剣にカノープスを見ました。 「雷の中を飛んだりしないの?」 「僕が見た…
「よかった!見つかったね。さあ、帰るよ、きょうちゃん。カノープス、ありがとう」 ドルチ…
お月様が天高く上っています。 「ありがとうカノープス。さようなら、また会おう」 ドルチェ…
「あれれ、ここ、僕の住んでいる森だ」 目の前にはキングサリの花があります。 しかも、まだ明るい時間帯です。 「僕、お昼寝して夢を見ていたのかな」 そっと身体のにおいを確かめると、潮の香りが微かにしています。 「間違いない、月兎たちと一緒に海にいたんだ。もう、お月様に着いているかな。また会いたいな」 不思議な体験を思い出しているカノープスの上で、キングサリが優しく揺れています。 いつもの静かな森の生活に帰ってきたのです。 完