リーマンショック(和製英語)

リーマン・ショック 元財務官の回想録 (毎日新聞出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07BKVMLZT/

リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上)
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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コロナショックで一時期株価も原油も急落し、こういうときに
各国の金融中枢はどのように意思決定し政策を実行していくのか?
に興味があり読んでみた。

一つ目の元財務官の本であるが…いつどこで誰と会ってどんな話を
したという…メモ帳、備忘録の範囲でしかないような気がする。
一つ言えるのは、日本に居るよりも各国の中央銀行や財務金融当局者と
会い続けるのが仕事ってことなんだろう。まぁ財務省・金融庁・
日本銀行などは将来の幹部候補生を世界銀行IMFや国連などに出向させ
て、各国の人脈作りをさせて十数年後の顔つなぎや交渉や根回しの窓口
にさせているのであろうことは十分に伝わってくる。
が、やはり中川財務相の酩酊会見や変死など、墓場まで持っていかない
といけないことがたくさんあるわけで、読んでいて…何かわかった!
って感じはしなかった。

二つ目のNY TIMES記者のノンフィクション、これは舞台がニューヨーク
なだけに、ウォール街や当時リーマンブラザーズ本社屋があった50丁目
など、ニューヨークの光景と登場人物を演じる俳優?と台詞が脳内再生
されて楽しく読めた。ノンフィクション小説としても秀逸な出来だろう。
邦題は面白くないが、原題「Too Big To Fail」はまさに言い得て妙。
投資銀行第4位のリーマンブラザーズ、5位のベアスターンズ、そして
日本でいう住宅金融公庫なファニーメイとフレディマックが倒産し、
ベア・ファニー・フレディは政府主導で救済されたが、リーマンは…
英国バークレイズやバンカメの救済話が流れて倒産させられた。
バークレイズの救済には日本の三井住友銀行も金を出すとこまでは
行ってたがお流れで、三菱東京UFJ銀行がモルガン・スタンレーを90億
ドルで買収したことだけがクローズアップされている。リーマンの
海外支社は切り売りされて日本は野村證券が買ったんだったか。

2冊を読んでみて、日本にしたら対岸の火事と思っていたら、自動車大手
のGMが巨額損失出すなどリーマンショックよりもリーマン後の処理に
問題があった…っていうか、ブッシュ大統領は2期目でポールソン財務相
は後任にツケは残さないといいつつ、リーマンの破綻はウォール街の中で
留まる的な見方をしていたし、大統領選挙控えてこれ以上税金で投資銀行
の救済は有権者が許さない!てな空気が議会を支配していたのも、後処理
に禍根を残した要因だろうね。その間に日本がどう動いていたのかは
財務官の本でもわかるが、統計と表を前面に押し出しつつも、およそ
一般人が読んでわかるようには書いてない。業界人や経済学部生が読む本
なのだろうか。

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