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奄美大島にいるノネコはどうなる?の問題提起を島民である私より一部訂正
#奄美大島 のノネコについて、ネットにはいろいろな記事が上がっていますが、今回引用するこの記事はまだマシなほうです。
というのも、殺処分計画やら奄美はひどいやら奄美は何の努力をしていないやら、これまで色々な偏向記事が書かれてきた中で、この記事は「個人で今からでも、ノネコのためにできること」は何かの記載があるためです。
偏向記事の〆は「寄付お願いします!」が多い印象でしたが、こちらは「ノネコのためにできること」とノネコのためになることは何かを記載しているので、本当にノネコのことを考えているのだと思います。
ただし、それでもやや偏っている部分がやはりありますので、今回は奄美大島に住んでいる私が、同じ媒体のnoteで引用しながら訂正していきたいと思います。
ノネコは全国にいます。
奄美大島に“ノネコ”と呼ばれる猫
まず、ノネコは全国にいるということを最初にお伝えします。
そのつもりはないとは思いますが、「奄美が勝手にノネコと呼び始めた」と勘違いする人がこれまでにもいたので、書いておきますね。
なんなら、ノネコの対策をしているのは奄美大島だけではありません。
むしろ世界レベルで対策されています。
どのように問題になっているかは、環境省のサイトがほんのりわかりやすいので以下にリンクを貼りますね。
対策対象はノネコだけではない
ノネコも野良猫も住む場所が違うだけで同じ猫であり、人の行動によって生み出されているため、捕獲計画の是非については議論の余地
議論するのは勿論、自由にしていただいて良いのですが、そもそも対策されている外来種って「人の行動によって生みだされている」んですよね。
もし「ノネコも野良猫も住む場所が違うだけで同じ猫」であることが捕獲計画に異を唱えることに繋がるのであれば、他の外来種もそうではないのですか?
ミシシッピアカミミガメとか、アメリカザリガニとかも飼われてても外に居ても同じミシシッピアカミミガメだしアメリカザリガニなんですよね。
でも駆除されてますよね。
猫だからこそ捕獲計画が必要
というか、猫だからこそ対策されているとは思えないのでしょうか。
猫って、猫好きでない私でも知っていますが、めっちゃ運動能力高いですよね。
猫じゃらしであっちこっちに飛んで遊ぶ様子とか動画などで見たことありますけど、それが野生に進出するとあの運動能力で野生の生き物をハントするわけですから、野生動物からしてみればたまったもんじゃないです。
自然の摂理に「猫」は含まれない
よくこういうこと言うと、「自然の摂理~」と言ってくる人もいますが、自然の摂理であればまあ確かに問題はないかもしれませんね。
ただ自然の摂理であれば、一方的なハントにはならず野生動物側にも対策する何かしらの手立てがあるはずなんですよ。
例えば奄美大島にはトゲネズミがいますが、このトゲネズミは天敵であるハブに対応するためぴょんぴょん飛び跳ねる性質があります。
これはハブが飛んでくるのを回避するためのもの性質と言われています。
図4はハブとトゲネズミの関係を図示したものであるが,トゲネズミはハブに対して近づくという行動をとることがある.興奮したハブが攻撃してくると50cmくらい空中にジャンプしてハブの攻撃をかわす.そのために,ハブの餌動物にトゲネズミが含まれることは稀である.
いきもの側に対策する何かしらの手立てがあることで、一方的なハントもないですし、急速的な絶滅にも繋がりません。
うまく釣り合いがとれるように、生き物の輪ってよくできてるんですよね。
しかし、猫はどうでしょう。
元々肉食の哺乳類がいなかった奄美大島の山に猫がいると、対策する手立てのない生き物たちは一方的にハントされることにもなりますし、釣り合いの取れない関係はいずれ生き物のバランスを崩しかねません。
トキソプラズマも問題になっている
トキソプラズマは猫の消化管内で増殖する寄生虫です。
ネズミにトキソプラズマが移ると、猫への警戒心が薄れて捕食しやすくなると言われています。
そんなトキソプラズマは、アマミノクロウサギからも陽性反応が出ています。
奄美大島の果樹園で今年5月、国の特別天然記念物アマミノクロウサギが保護され、島内の動物病院で治療を受けている。首を傾けた状態が続く神経症状があり、専門家の血液検査で、猫のふんなどから感染するトキソプラズマ症の可能性が高いことが分かった。
トキソプラズマ症は寄生虫のトキソプラズマが引き起こす感染症。加熱が不十分な食肉や、猫のふん、汚染された土壌から人や動物に感染する。健康な人の場合はほとんど症状が出ないが、妊婦が感染すると胎児に障害が出ることがある。
トキソプラズマの例を見ると、「野良猫も猫も同じ猫だから」は、捕獲しない理由にはならず、むしろ捕獲する理由になることがわかるのではないでしょうか。
猫だって山暮らしは大変
再三言っておりますが。
「捕獲の是非」などいう人は、どうして猫が山で苦労していることに思いを馳せないのでしょうか。
奄美大島の山には猫にとって以下の危険が潜んでおります。
ハブ
カラス
突然の雨嵐
台風
霧大発生が頻繁な湿度
「奄美大島の山に猫か~。ほ~ん、ほのぼのしてええやんけ~」
と、考える人どれくらいいますか?
ですが実際の奄美大島の山は、猫にとってすごしやすいとは言えない環境です。
まず、猫の捕食者がいます。
ハブやカラスです。
ハブに関しては捕食頻度が高いとは言えませんが、確実に食べられています。
食べられないまでも、ハブにちょっかいをかける猫は割といますので、毒に苦しんでいる可能性もあります。
また、奄美大島は雨が多い島です。
台風でもないのに突然の雨嵐があることも。
猫って聞く限り、湿度とか雨嫌いですよね。
奄美大島の山は湿度も雨も備えているような山ですけども、捕獲に是非を唱える人はそこまで考えているのでしょうか?
アマミノクロウサギの死因で交通事故が一番多いってほんと?
奄美大島のノネコについての記事を読むと、なぜかアマミノクロウサギの話題ばかりが目につきます。
だいたいが交通事故についてです。
今回取り上げた記事でも、交通事故について書いてありましたね。
奄美大島にいるノネコは、本当に捕獲するべきなのでしょうか。ノネコによる被害が大きいとされているアマミノクロウサギの死因を環境省が調査したところ、最も多かったのは交通事故によるものだとわかりました。
これだけ見ると、
「事故が一番?!アマミノクロウサギを守るなら人間をどうにかしろ!」
と思っちゃいますよね。
私もよく考えなければこう思うと思うし。
だけどよく考えてみてください。
アマミノクロウサギの死因が交通事故が一番なはずないでしょう?
この記事には以下の記述も。
また、アマミノクロウサギの2021年の推定生息数が1万1,549から3万9,162匹と、2003年の推定個体数と比べて5〜7倍に増えているようです。
こんなに増えている中で、アマミノクロウサギの死因No.1が交通事故であるならば、百単位で轢かれまくってないとアマミノクロウサギだらけの島になりますよね。
ですが現状は、アマミノクロウサギは増えているけれど未だ絶滅危惧種です。
交通事故が増えているとはいえ人間が調査できない範囲とか、見えない場所とか、捕食・分解などでアマミノクロウサギは死んで見えなくなっています。
人間が調査できる範囲なんてほんの一部なんですよね。
だからまずは落ち着いて、本当に死因が一番か?考えてみると良いかと思います。
アマミノクロウサギ以外にも奄美には生き物がいます
アマミノクロウサギの交通事故について書いてある記事を見て良く思うのが、「奄美にはアマミノクロウサギ以外にもいるんだけどなあ。」ということです。
アマミノクロウサギばっかり焦点あたるのはまあわかるんですけどね。
なんといっても初めて天然記念物に指定されたのはアマミノクロウサギですからね。
すごいウサギなんですよ(自慢げ)。
ですけども、アマミノクロウサギ以外にも奄美にはたくさんの生き物がいます。
全部紹介するのは時間的に無理なので、以下にわかりやすいリンク貼っておきますね。
(このサイトもいいよ~ってのがあったら連絡ください)
アマミノクロウサギの出産は1回に1~2匹
記事に聞き捨てならない記載がありましたので引用します。
捕獲数の少なさに加えて、ウサギの増加スピードは早く、ノネコの捕獲に科学的根拠があるのかどうか判断する必要がありそうですね。
ひいいい!これはけしからんですね!
ウサギの増加スピードは早く……どこのどのウサギの話をしておりますか?!
あの、あの、今までアマミノクロウサギの話をしていましたよね?
突然カイウサギなどの話を挟んできておりますか?
アマミノクロウサギの出産は大体1回に1匹、2匹連れてるのは稀。
論文では、出産数が2匹だったのは1例のみで、ほかは全て1匹▽出産時期は5月の1例を除いて11~12月ごろ▽巣離れまで40日前後▽授乳は2日に1回で、2分前後、といった長年の観察で判明したという生態を紹介。クロウサギは「ウサギ目の中で繁殖力が最も低い種の一つ」とした上で、その背景について「気候が比較的安定し、天敵が少ない亜熱帯の島で進化した結果」と推察している。
水田さんは「数少ない子どもを大切に育てようとしている」と分析し、「外来のマングースや猫は、クロウサギにとって大きな脅威。人間の責任で解決すべきだ」と話した。(奄美通信員・神田和明)
浜田さんによると、アマミノクロウサギは極端に産仔数が少なく、1年のうちの繁殖回数も少ないことから、ウサギ目の中で繁殖力が最も低い種の一つであることが明らかとなった。
論文では「このユニークな繁殖特性は、気候が比較的安定しており捕食性の哺乳類がいない亜熱帯島しょで進化した結果であると考えられる」と結論付けた。
わかる?!
ウサギの増加スピードは早くなんてどの口で言うの?!記事書くならクロウサギのことも調べてほしかったです。
アマミノクロウサギは十分に増えているのか?
そもそもですが、増えてるとはいえアマミノクロウサギは世界に奄美大島と徳之島にしかいない生き物です。
どれくらい居れば問題ない数なのかもわかっていない状況の中、どうしてアマミノクロウサギの出産についても調べていない人が「ノネコの捕獲に科学的根拠があるのかどうか判断する必要がありそうですね。」なんて言えるだろう……?
奄美の自然が好きないち島民としてはとても悲しい文です。
年300匹の捕獲目標、今はありませんよ~!
年間300匹の捕獲を目標にした計画なのに、1年間で捕獲したノネコの数は100匹未満の年もあり、環境省が出した推定と実際のノネコの数が合っているのか疑問が残ります。
まったいまったい!
年間300匹の捕獲目標は今はありませんよ!
まずノネコ管理計画の資料をちゃんと読んでみましょうか。
年間300匹の捕獲目標の記載、どこにもないですよ。
↓ノネコ管理計画の資料
https://www.env.go.jp/content/900492038.pdf
ノネコの推定数は600~1200頭とは書かれていますが、マジでどこを見ても「300」の数字すらないんですよね。
なんの記事を見て年間300匹の捕獲目標だと思っちゃったのかな?
偏向記事では、「300の捕獲目標」についてよく出てきます。
実は初年度は、「300匹の捕獲目標」について記者会見で環境省より発言があったのですが、現在は捕獲目標はないんですよね。
ですが、これを「300の捕獲目標がある!」と、捕獲目標はないよと訂正があっても言い続ける人がいるため、300匹の捕獲目標があると勘違いする人が後を絶たない現状があります。
そもそもですが、600~1200頭の推定数と知っていればこのデマにも気づけるはずですが……。
踊らされちゃいましたね~!ドンマイです!
譲渡だけがノネコを救っているのか?
奄美大島のノネコは捕獲からわずか1週間で殺処分にされる決まりですが、2022年時点ではノネコの殺処分数はゼロの状態です。つまり、一度も奄美大島でノネコの殺処分が行われていません。
その理由は、民間の保護団体による決死の救出があるからです。
(省略)
政府や法律では守れない奄美大島のノネコは、現状では保護団体によって命がつながれている状況なのです。
確かに保護団体さん頑張っていますよね。
ですがノネコの捕獲譲渡は、保護団体さんだけの努力だけではなしえません。
まず捕獲するのは人です。
あの険しい山に人の手で捕獲しに入るのです。
「行政がそんなんするの当たり前」のようにいう人がたまにいますが、遭難者も出す奄美の山で捕獲するのは大変な努力です。
ノネコが捕獲されているか1日1回の見回りも大変ですし、モニタリングでノネコがいる場所やらの調査もしていますし、無駄にならないように重点捕獲地域と低密度維持地域を定期的にチェックしていたりと見えないところでとても丁寧な作業があります。
更に奄美では、ノネコの発生源対策としてTNRにも取り組んでいます。
ノネコを増やさない取り組みがあるからこそ、まだギリギリ譲渡できるくらいの数になっているとは考えられないでしょうか?
保護団体さんも頑張っているし、行政だって頑張っています。
なんなら奄美の猫飼いさんたちは、猫を外に出さないよう飼う場所を外から家の中に移した人も多いです。
それぞれ頑張っている結果ですから、見えないとろこ・目立たない部分も一度想像してみてほしいと思います。
まとめ:全体的な記事の感想
チラホラ偏った情報が見受けられましたが、最後に譲渡に繋がるような〆があったのは好感が持てました。
(今まであんまりそういう記事がなかったので)
奄美大島のノネコに関しては、偏向記事が多くデマをキャッチしてしまうのも仕方がないため、「まあ、こんなもんかな?」と思うのが正直なところです。
ネコノートさんは、正確な情報発信を心がけているそうなので、今後おそらく理解などを深めてまた別の視点からの記事を書いてもらえると信じています。
ではでは~。
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