1-4後輩の中山君の話

16日ぶりの更新である。
前回の近鉄の記事は自分の中でも力が抜けたいい記事だった。
人と会うと意外な人にほめてもらえたのがうれしかったし、
家に帰ってきてボーとしているときには、ベットの横の壁のシミにも「あれはいい記事だったねぇ」とほめてもらえる。素直にうれしい。

忙しい時間を縫って読んでくれる人と、
こちらから話かけても、返事をしてくれることが少ない壁のシミのためにも「noteを更新しなきゃ!」と思っていたが、エネルギーが足りずにパワプロのオートペナントを回し続けていた。

後輩の中山くんの話

僕はしがない会社員である。
まじで平々凡々である。
平々凡々は音だけ聞くと「HEY HEY!Bomb Bomb!」とかなり陽キャだが、平々凡々な僕はいま無表情でインスタントコーヒーをすすっている。

しがないサラリーマンの楽しみは昼休みである。お昼が日常で一番テンションがあがる。
テンションが高いので、中華料理屋の汚れたTVにうつるヒルナンデスのナンチャンや、ひるおびの恵もおもしろい。

昼ごはんはいつも後輩の中山君がお供してくれる。
(本人に許可をとらずに文章にするので中山君というのはあくまでも仮名で、本名は長島くんである。)

中山くんはものすごく聞き上手である。
おしゃべり上手よりも、聞き上手のほうが世の中には少ないと思う。
中山くん自体のおしゃべりはたいしておもしろいものではないけれど
僕が全く中身のない雑談をしていても、しゃべり終わるころには話をしている僕自身が「めちゃくちゃおしゃべり上手だな。俺」と思ってしまうほどに笑ってほしいところで笑ってくれるし、そうでないところでは完璧な相槌を返してくれてツッコミもするどい。

彼がキャッチャーだったら、僕も甲子園を目指そうと思っていたと感じる。
「この能力めちゃくちゃ女の子にもてそうだなー」とよく思う。中山君の外見もいいし、性格も抜群だ。
だけど中山君は女の子にモテない。

中山君には会社に好きな女の子がいる。
この間2人でお昼ご飯に行く途中に、その娘の少し後ろ歩きながら雑談をした際には、名捕手中山君は相槌を打ってくれた。
中山君のテンポはめちゃくちゃに乱れていて、
彼女に聞こえるようにものすごく普段しないような声を張ったツッコミを見せてくれた。
好きな女の子の前で力みすぎて、思う通りのおしゃべりができないのは今までモテてこなかった男の子のあるあるだ。

信号待ちで分かれて、会社のひとが僕らしかいない中華料理屋につく。
スカウトの前でいつも通りの力を出すことのできなかった中山君はこころなしか、へこんでいるようだった。

へこんでいる様子を僕に悟られないようにすかした態度でレバニラをたのんでいるのをみて、いつもは店に着くやいなや饒舌に話を始める僕もそのまま中山君と同じレバニラを頼んだ。

慰めるのも何だか違う気がしたので、汚れたTVにうつるヒルナンデスを眺めている。
その日のナンチャンはなんだかつまらなかった。

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