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大関をたった14場所で陥落した男④わがまま末っ子の誕生

照ノ富士に、間垣部屋に入ったばかりの頃を尋ねると、「この二人めっちゃ厳しかったんですよ」といたずらっぽく笑った。
「いつも、なんでやねんって思ってた」

当時、間垣部屋の昼のちゃんこ当番は照矢の仕事だった。ある日、照矢から「魚のさばき方」を教えると言われた。魚は食べるのも嫌いな照ノ富士。一度教えてもらうと次からは毎回やらなくてはならない。それが嫌で逃げ回っていた。
勝手なもので、当の照矢は「そんなこと言った? 」と、首を傾げ、すかさず駿馬が「でも、ガナも何匹かはさばいだよね」とフォローする。
当時を思い出して笑い合う三人は、まるで本当の家族のようだ。

しかしこの頃、間垣部屋は終焉に向かっていた。
「僕が入って3年で親方が倒れ、指導ができなくなりました。でも兄弟子の関取が切り盛りしてくれて、親方が居ないからこそしっかりやらなくちゃ、というのはありましたね。ただ、照ノ富士が入門した頃は、人数もだいぶ減っていて、稽古をサボることはなくても、相撲部屋独特の厳しさは足りなかったかもしれません」(駿馬)
自由奔放に振る舞う照ノ富士に手を焼くことも多くなっていた。(つづく)

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(本記事は、(株)宣伝会議が主催する教育講座「編集・ライター養成講座」の卒業制作として提出した記事から掲載しています)

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