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赤ちゃんへの接し方問題

産後、私はある問題に直面しました。

これまでの人生で赤ちゃんと触れ合った経験がほとんどないので、生まれたばかりの我が子に対する声の掛け方がまるでわからないのです

世の中のお子さんを持つみなさんは「あら~よくできたね~」的な丁寧で優しい口調で話しかけているけど、アレのやり方が全然わからない。なんでみんなできるの?私が休んでた日に生活の授業で習った?

なので病院で子どもを抱いているときも、

子「……」
私「……」

みたいなめちゃくちゃ気まずい空気がずっと流れていた。友達の友達とふたりきりになっちゃったときと全く同じ空気

見かねた助産師さんが「今日は機嫌いいね~ママの前だからかな~?^^」とニコニコ笑顔で優しく子に話しかけてくれて、私も何か言わなければと思ったんだけど「…ハッハ!」みたいなわざとらしい愛想笑いしか出すことができませんでした。自分の子に対してコミュ障を発揮してどうする?

原因はわかっています。私は声がめちゃくちゃ低くて淡々と話すことに定評があります。普通のお母さんが出す声が「ラ」だとしたら私の声は1オクターブ下の「ド」です(?)そんな自分が高い声で優しく話しかけることに、なんとなく気恥ずかしさを感じてしまっていました。助産師さんに「あっ、なるほど~、子どもにはそういう声出すんですね~?笑」って内心笑われているんじゃないかとたまらなく恥ずかしくなってしまう(生きづらすぎる性格)

でも今後育児をしていくうえで、子どもとのコミュニケーションは絶対に避けられない。いないいないばあとかしなくちゃいけないんですよね??Winkばりの真顔でしかできないけど大丈夫ですか???絵本の読み聞かせも、国語の授業で当てられて音読するくらいの低いテンションでしかできないけどどうしますか???

マジでどうやって話しかけたらいいのか分からず危機感を覚えた私は、インターネットに頼った。それが唯一の、アタシたちが未来を変えられる手段だから・・・

そしたら「0歳児とどんな会話をすればいい?」という、私の悩みをピンポイントで解決するサイトがありました。

見てみると、一行目からこのような文言が書かれていて血の気が引きました。

『赤ちゃんは日常的なやりとりの中で言葉を修得していく』

ヤベッ!

現状、私の声よりテレビの音のほうが多く聴いている気がする。このままだとCMで死ぬほど流れている「楽天モバーイル!」が第一声になってしまうんじゃないか・・・

サイトにはこのようなアドバイスも書いてありました。

『思ったことをそのままにせず、あえて口に出すように心がけてみて下さい。』

よっしゃ、やったろ!
この日から私は人が変わったように、子どもに対して話しかけるようになりました。

「赤ちゃんだね~」

「は~い、赤ちゃん赤ちゃん」

「赤ちゃんってこと~?」

「チャンアカだね~」

ダメな気がする

いやどうあがいても目の前にいるのは赤ちゃんなので「赤ちゃんだな~」って思うから赤ちゃんだねって言ってるんだけどこのままでは子どもの語彙がまさかの「赤ちゃん」1語だけになってしまう。

しかし、この悩みの終焉はあっけなく訪れた。それは生後2ヶ月が経ったある日のことでした。

いつもは、おなかがすいて絶叫している声で起こされるのですが、この日は私が目を覚ますと子どもが先に起きていました。

なぜだか、泣きもせずただ天井を見つめてピカピカの笑顔で笑っていたのです。何もない真っ白な天井のなにがそんなに面白いのか分からないけど、目を細めて、口を大きく開けて、辞書の「笑顔」のページに入っている挿絵みたいなお手本のような笑顔をたたえています。碇シンジ君も「知らない、天井」つってないで見習ってほしいくらいの笑顔でした

それを見てわたしは自然とこう言っていた。

「あら~~~~~~~~笑ってるの~~~~~~~~~?????」

・・・これだ!!!!!!!

自分でも信じられないくらい甘~い声を出すことができた!!!!急に

そうか。あの子どもに対する甘~い声は、みんな出そうと思ってわざと出してるわけじゃなく、自然に出てしまっているのか。

そこからは、自然と子どもに話しかけることができるようになりました。お腹が空いて泣いてしまったら「お腹空いたの~~~教えてくれてありがとね~~~~」と感謝を述べ、何をしても泣き止まず抱っこで泣き止んだときは「ハイハイハイハイハイ抱っこしてほしかったのね~~~~~抱っこ!抱っこ!ワッショイ!ワッショイ!」と掛け声を出しながら抱っこをし、笑顔で手足をバタバタ動かしている姿を見れば「もしかしてノーベル平和賞を受賞された方ですか~~~~~~????」と賛辞を送る。

めちゃくちゃ楽しい

ただただ無言でオムツを替え、授乳をし、抱っこをしていたときと比較にならないくらい、育児が楽しくなったのです。これまでは子どもに接するのがある種の「作業」になってしまっていましたが、一気に「コミュニケーション」に様変わりしました。

そんな、よく考えれば当たり前のことを、ピカピカ笑う子どもに教えてもらったのでした。


以上

【本日の1曲】街の報せ / cero


ありがとうイン・ザ・スカイ