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それでも地球は曲がっている

僕は曲がったことが大嫌いだ。自分の軸はまっすぐに保ち、規則正しく行動している。中立公正に、みんなを守る。それが僕の信念だ。

ある日、友達の月が苦しそうに唸っていた。理由を尋ねると、引力が乱れて、体を安定させることができないと言う。このままでは軌道が乱れ、太陽系から飛び出してしまうかもしれない。僕は悩んだ。 筋を曲げることになるけれど、友達の苦しみを放っておけなかった。

「少しだけ、角度を変えるよ」

僕はほんの少し地軸を曲げた。月は楽に回転できるようになったと喜んでくれた。でも、それを見て火星や金星たちがざわめき始めた。

「おい、何勝手なことしてるんだ?」
「いつも人に曲がるなっていってるのに、自分は曲がっていいのかよだ!」

みんなの声が僕を刺す。別に自分勝手に軸を変えたわけじゃなく、ただ月を助けたかっただけなのに……。目頭が熱くなる。でも泣いてはいけない。僕が泣いたら、海が溢れてしまうから。

「ごめん…」

僕はただ小さく呟いた。

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