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鋭利なチクワ

「前方に小惑星帯が接近!」

操縦席から叫ぶと、乗組員は衝撃に備えてシートベルトを着用した。艦長が俺の目を見て「大丈夫か?」と無言で尋ねる。俺は口の端を曲げて笑ってみせる。

我々の乗った筒型宇宙船「チクワ号」は、その緊張感の無い愛称とは裏腹に、素早く正確に動ける最新鋭の船で、俺はその性能に絶対の信頼を置いている。もちろん自分の操縦技術にも。

ちくわは速度を緩めることなく、迫りくる小惑星を悠々とかわしながら前進を続けた。しかし、小惑星帯の中心部に差し掛かった時、

「おい、なんかおかしいぞ!」

惑星が急に不規則に動き出し、俺たちを包囲したのだ。その瞬間、惑星の1つがチクワに咬み付いた。

「こいつ、生きているぞ!」
「食べられる!」

俺は操縦桿を握り締めて急旋回!鋭い軌道で、小惑星の喉元を切り裂いて進んだ。まるで包丁で豆腐を切るような感覚だ。その後も、次々と襲い来る惑星生物を何度もギリギリのところでかわし、またはその腹を切り裂き、ついに脱出成功。

「やった‼」

皆が歓喜したその瞬間、母の声が響く。

「食べ物で遊ぶんじゃない!」
「は~い」

皿の上にはズタボロになったハンペンやツミレ、じゃがいもが転がっている。全てチクワ号の戦果だ。俺は敬意を表してチクワをゆっくり味わった。

さらば、宇宙戦艦チクワ号!


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