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海のピ

「海のピをさがせ」という謎のメールが届いたので、海に向かった。

「海のピはどこですか?」
「何それ?」

漁師、豚の散歩をする人、盛った猿よろしく腰を振るカップル、警察官、誰に聞いても変なヤツ扱い。食い下がると、最後には「あっちいけ」と石を投げ付けられた。

「どうすりゃいいんだ……」

折れそうな心を抱え、海を見つめながら落花生を齧っていると、道化師が笑いながら近づいてきた。顔は真っ白で、赤い鼻が目立つ。

「どうした兄弟?」
「お前に兄弟だなんて言われる筋合いはない」
「機嫌が悪いな」
「そのニヤけた顔を見ると腹が立つんだよ」

道化師は黙って壺からキュウリの漬物を取り出し手渡してきた。齧ると酸味が口の中に広がる。

「きょうは波も穏やかだ。少し落ち着いたらどうだ?」

ハッとして、ゆっくり深呼吸をした。そこには平和な時間が流れていた。

「すまん」
「いいってことさ」

道化師は笑って言う。

「ところで、あんたは海のピって知っているか?」
「これのことか?」

道化師はポケットから拳銃を出した。

「それが海のピ?」
「ピと言えばピだし、ケと言えばケだな」
「なるほど。そうしたら、あんたも海のピだね」
「海のドでもある」

俺は道化師に礼を言ってその場を離れると、その足で警察官のところに行き、ピクルスとピストルをもったピエロがいると伝えた。

遠くでサイレンが聞こえる。空は夕焼けでピンクに染まり、平和の象徴ハトが飛び去って行く。そうだ、この世界は「ピ」に溢れている。




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