運命/My Hair is Bad
*この記事は自分勝手な解釈&思い出話を含みます*
運命を初めて聞いたのは激安スーパーだった。
そのスーパーの店内BGMは少し変わっており、アングラな曲や80年代の曲などとても有線のラジオとは思えないラインナップだった。
きっと店員が好きな音楽を流してもいいというルールでもあったのだろう。
それを確信したのは椎名林檎の無罪モラトリアム(アルバム名)がながれたとき。「なかなかいい趣味をしてるじゃないか!!」涼しい顔で買い物を続けながらも心の中は大歓喜お祭り状態だった。
壊れそうなコンクリートでできている激安スーパーにこの曲は驚くほど似合わなかった。
疾走感のあるフレーズに失恋の歌詞。この曲が流れだしたとき風が吹いた気がした。
「偶然だった最後の最後であの日と同じ服」
前奏はなくいきなり入るのだけど、この文だけでこの先のストーリーの情景が浮かぶ。
その先の歌詞を聞いてる感じではカップルが別れ話をするのだろう、きっと喧嘩ではなく本当に終わりなのだろうと。
正直甘々な恋愛ソングや失恋ソングは好きじゃないので「こういう系か、やっぱり拡散力がある若い子に受けるからだろうな~」なんて考えながら買い物を続けていたらサビで耳がくぎ付けになった。
「きっと終わりだった ずっとわかっていた もう何も言わなかった」
このフレーズを叫ぶように歌う声に耳の穴が無理やりこじ開けられた。
辛くて出口がなくて抗えない、足掻くことさえかっこ悪くて、かっこ悪い自分を認められなくて。そんな思いがこもっているような歌い方。
当時My Hair is Badの真赤が流行っていたのは知ってたけれど、話題に上がるのは「ブラジャー」という歌詞が入っているという事ばかりでうんざりしていた。
「ブラジャー」という名詞を歌ったことにうんざりしていたわけではない。周りの反応がうざかった。男子は嬉しそうに歌い、女子はそれをからかう風景がうざったくてうざったくて耳も目ももげるかと思ったわ。
十代だったことも相まって反逆心を盾に聞いていなかった。
そんな奴の耳にたまたまはいってきて感動しちゃったんだから反逆心もなにもなくなった。
食わず嫌いはよくないね、反逆心もいいけどルルーシュになるわけじゃないから良いものにはさっさと絆されてしまえ。
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