やっちゃったゴーン氏について考える


1.「やっちゃえ、日産」の日産がほんとにやっちゃった。

(1)日産三菱・ルノー連合会長のカルロス・ゴーン会長が逮捕された。

ゴーン会長と言えば、2万人規模のリストラをしたり、工場を閉鎖するなどしてわずか1年で黒字にして、かつて窮地の日産を救った名経営者。

その「コストカッター」の異名を取るゴーン氏が自らの報酬を有価証券報告書に安く計上していたことが金商法上の虚偽記載に当たるとして逮捕された。

(2)この逮捕劇にはいろんな憶測が飛び、役員報酬に関するいろんな意見もある。

ゴーン氏の独裁的とも言える強力なリーダーシップが窮地の日産を救ったことはまぎれもない事実。

なのでこの逮捕劇によって彼の経営スタイルそのものまで否定されるのは違うとは思う。

しかし、日産を救うためとは言え、多くの従業員や関連メーカーを切ったのだから、自らのお金に関する部分を綺麗にしておくことが筋だと思う。

ゴーン氏の年収は約19億。小企業社長の僕としてはなんとも羨ましい限りだが、このクラスの経営者はそのくらいの報酬をもらってもいいと思う。

でも、それを法を犯してまで低く見せるのは不誠実だと思う。

起訴されれば、これから裁判でその真相が明らかになるが、注視していきたいと思う。

2.(1)それと同時にこういった不正を疑われる状況を許してしまう日産のコーポレート・ガバナンスも大いに問題があると思う。

コーポレート・ガバナンスとは、株主を始めとする利害関係者による企業の統制・監視の仕組みのこと。

(2)ウチらみたいな中小企業と違い、大企業ともなれば、所有と経営の分離が原則。

会社の所有者たる多数の株主に利益をもたらすためにゴーン氏のような雇われ経営者が会社を運営する。

しかし、ゴーン氏も一人の人間。
である以上、解脱でもしない限り、金銭欲から無縁であるはずがない。

だから、株主の代理人である経営者が暴走して株主の利益を損ねるのを食い止める仕組みを作らなきゃいけないが、それが出来なかった。

その結果、株主以外の従業員、顧客、下請や販売店等の利害関係者にも迷惑が及ぶ場合もある。

この状況を変えないと日産三菱・ルノー連合の信用にも関わる問題になるだろう。

3. 僕は人間というのは良い面も悪い面もあるが、易きに流れる生き物だと思う。

それはゴーン氏のような有能な人間でも同じ。

だからこそ、こういった責任ある立場の人間は普通の人間より、自らを厳しく律する義務があるし、その周りも、万が一、経営者が暴走しようとしても株主、従業員、取引先や協力会社等の利害関係者を害しない仕組みを考えないといけないと思う。

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