まずは「価値ある」フォロワーに

自社の業界内における地位・立場はどんなものであろうか。

この点に関してマーケティングの大家であられるコトラー曰く、企業の業界における競争地位は、市場占有率に基づき、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4類型に分類される、としている。

まず、リーダーは業界内で最大の市場シェアを誇る企業で、業界の盟主たる地位にある。

次に、チャレンジャーはリーダーに果敢に挑戦し、市場シェアの拡大を狙う企業で、リーダーの地位の奪取を狙う2番手の地位にある。

次に、フォロワーとはリーダーに挑戦せず、現状を維持し、あえて危険を冒さない企業で、リーダーに追随する3番手以下の地位のことをいう。

最後に、ニッチャーとは、採算性のため、リーダーが扱わない分野、もしくはついていない分野に資源を集中させる企業のことをいい、業界内で小規模だが差別化されたものを扱う関係上、リーダーやチャレンジャーに追随しない独自の地位を占める。

2017年警備業売上ランキングのトップはセコムで警備単体の売上高が3824億7624万円、2位がALSOKで売上高は2295億400万円で、3位のアサヒセキュリティの421億1367万円、4位のセントラル警備保障の405億595万円といった後発を大きく突き放す。

警備業はざっくり言えばリーダーたるセコム、チャレンジャーたるアルソックの2強とそれ以下のフォロワーという業界構造といえる。

自社はセコムの協力会社であり、売上規模も小企業並でおよそトップ2社とは比べ物にならないほど小さいし、ニッチャーになれるほどの差別化したサービスもないのでこてこてのフォロワーということになる。

ではフォロワーたる自社はどんな戦略をとるべきか。

一般にフォロワーはリーダーやチャレンジャーに依存して、残りかすをいただいて細々と長生きすることが戦略の定石とされる。

上記の通り、警備業は圧倒的な強さを誇る上位2強とそれ以下という業界構造ということを考えると、フォロワーたるウチとしてはは如何に影響力の強い上位2社と上手くつきあっていくか大切なことといえる。

でもそれでは人手不足、毎年の最低賃金上昇、社会保険義務化等による人件費上昇、という今の時代に生き延びることは厳しいし、これからのAI,ロボット化の時代を見据えたやり方とはいえないと思う。

やはり、最終的にはサービスの差別化を成功させ、ニッチャーとしての地位を築くための準備を今すべきであろう。

とはいえ、警備業の業務の性質上、そう簡単に差別化が上手くいくものじゃないことはこのブログで度々指摘してきた通り。始めは付帯業務を育てて行けばとの期待を胸に現場に入ってみたものの、雑用は所詮雑用。追加料金を請求した瞬間に話が流れる。突然変異(経営学的には破壊的イノベーションか)を意図的に起こさない限り、差別化されたサービスに育てることは厳しいだろう。

だったら、それはそれで模索しながら、当面のところは、警備サービスの質を高めることに努めた上で、リーダーやチャレンジャーにとって欠かせない存在になって低価格でなく適正価格を常に頂ける存在になる「価値ある」フォロワーになることが必要だと思う。


リーダーのとる戦略の一つに業界を低価格競争に巻き込ませない非価格対応があるという。その流れが結局はリーダーにとってもマイナスだから。

今は一段落ついているものの、警備業はとくにデフレ下の時代、激しい価格競争に巻き込まれ、多くの優秀な人材を失ってしまった。同じ轍を踏んでは行けないという思いをセコムは抱いていても不思議でない(だからロボット開発を押し進めている側面も否定できないだろうが…。)

だったら、リーダーが非価格対応をとるに相応しい協力会社になることが弱小企業たる八鹿警備の生き残る道だといえる。でもいつかは…




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