リスクをチャンスに!

リスクを考える事はしんどい、特に目に見え難い種類のものは。今回はその代表格である偽装請負について考えてみた。

見積等で条件が折り合えば、警備業者は取引先との間で業務委託契約を締結する。

その契約の性質は準委任契約か請負契約かは契約内容によってことなるが、いずれにせよ、警備員を取引先の現場に派遣し、取引先の指揮命令を受ける事なく、警備サービスといった仕事を提供する義務を警備業者は負い、取引先はそのサービスに対して金額等の報酬を支払う義務を負う。

取引先は警備員に労働基準法上の義務を負わない。その義務を負うのはその警備員が所属する警備会社なのである。それに反し取引先が警備員に対して指揮命令することは労働者派遣法違反ということになる。

なので警備員に仕事の指示することはできるのはあくまで取引先職員でなく警備会社ということになる。ただ、それは傍から見ても分かり難い。

この性質を悪用したのが偽装請負である。

つまり、表向きは業務委託契約を締結しておきながら、現場で取引先の職員が警備員に対しお願いという形で実質的に指揮命令し、労働基準法上の義務を不法に免れる、ということ。

この偽装請負を防ぐには、警備員に対する指導・教育は当然のこととして、まず契約段階で業務の範囲をはっきりさせる必要がある。

しかし、警備の場合、サービスの内容が目に見えないということもあるし、契約後に生じた警備以外の業務(以下付帯業務)をかなりの頻度でお願いされる場合があるので、なかなかその範囲を確定させることは難しい。

次に、契約段階で業務の範囲を大枠で決めた上で、業務を行う段階で付帯業務を頼まれた段階で、その都度、契約内容に明記すればいいじゃないかという話があるが、そんなことをすればキリがないので実務上現実的じゃない。

となると、考えられるのが、契約段階で業務の範囲を大枠で決めた上で、業務を行う段階でその枠の範囲で付帯業務を頼まれた段階で、現場レベルで話し合いをし、最後は、経営側の判断により引き受けるかどうかを決め、契約更新段階でその業務内容を明記する、というのが現実的といえる。

それがうまくいくかどうかは警備会社と取引先の現場責任者との間で行われる現場レベルでの話し合いが上手くいくかどうかに掛かっているといってよいだろう。

そして、その話し合いを行うことが取引先との信頼関係構築につながり、契約更新につながっていく。その話し合いが一種のリレーションシップマーケティングというわけだ。またそれが隊員が日常的に抱え込む業務の負担を軽くし、従業員満足度の向上にもつながる。

自社も、少なくとも主要取引先とそういった話し合いの機会を作るようにしているが、部門によってはその担い手である現場責任者である隊長が機能していなかったり、取引先との関係が良好でないところもある等まだ徹底しきれていないので、今後さらにその体制を作って行きたい。



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