交通誘導警備の厳しい現状と打開策

1. 警備員の人手不足はこのブログでしばしば述べて来た通りである。

それについては警備業各社はいろんな取り組みをしていると思う。

自社の場合は、施設警備の場合、一部現場の給与制度の見直し、警備員の「多能工化」、動画やSNS,ブログ等によるPR、といった形で対策を行っており、そのせいか、少しずつ成果もでてきている。

それでも仕事の依頼に人員の配置が追いつかない状況なので、さらなる手を今考え、企画している最中である。

2. ただ交通誘導警備に関してはそれすらもあまり効果がない状況にある。

(1)まず、交通誘導はスポット契約がメインで仕事の繁閑期の差が激しく、給与制度の見直しがし難い。結果、仕事が安定せず、特に働き盛りの方の定着率が悪い。

(2)次に、そのなり手が肉体労働や現場出身の高齢者ばかりでネットになじみがない。なのでSNS、ブログでのPRやアピールが通用しない。

(3)そして何より、見た目とは異なり、例えば今の地獄のような暑さの中や真冬の寒い中でも立ち続けるというハードな職務内容、だいぶ少なくはなったが、俺の背中を見て覚えろ的なぶっきらぼうな職人系の世界で若い人が定着しにくい。

そういったことから一部の例外を除き、交通誘導警備員は不足している。しかもそれはウチだけでなくてほとんどの会社でも同じ。

もちろん、そろそろ給与の値上も本格的に考慮にいれているが、他社の現状をみてもカネを上げたから人が来るなんて単純なフェーズはとっくの昔に終わっており、そんな対処療法ではどうにもならないところまで来ている。

また自社の企業理念を達成するための環境作りの観点から、1人親方を生み出す温床になっている交通誘導警備の就労形態はあまりそぐわない。

なので基本的に自社は交通誘導業務を縮小する方向で話を進めている。

3. とはいえ新規はまだしも、いままでウチと長いおつきあいのあるお得意様も多くいらっしゃるので急に大幅縮小することは、地域とのつながりを1番にされてきたウチの先代の意向に反することになるし、自分個人の価値観に照らし合わせても妥当とはいえない。

なので、人手が苦しくてもお得意様の仕事を引き受けて、人手の確保に関してどうしたものかと思案しているのが現在の状況である。

そのためにうちが行っていることとしては、他の警備会社に仕事を外注して、隊員の不足分を補うということである。

他の会社も行っているところは多いと思われるが、実はこういった人手が足りないことを想定して自社は関係ある何社かと相互に警備員を外注し合う態勢をとっている。

ただこのやり方ではその関係ある会社も人手不足で人員に余裕がほとんどないという問題点があるので不十分だ。

4.ではどうすべきか。

まず、お得意様のところを回り、今後のことに関してお詫びの意味を込めて挨拶回りをしていく道もあるが、それは最後の手段だと思う。

僕は中小企業等協同組合の発想を取り入れるべきなのではないかと考える。

中小企業等協同組合とは、規模の小さい中小企業が経営資源の相互補完を図るために相互扶助の精神に基づいて組織化し、協同して事業などを行う組合のことをいう。

つまり、自社の質の高い警備サービスを提供するという考え方に共鳴する数社と協力して、交通誘導警備業務の受注から警備員の派遣まで窓口を一本化していくやり方。

法的には違うが、発想としては一種の新設合併や新設分割といった合併に近いのかもしれない。そういう意味でも今後警備業の統廃合は進まざるを得なくなっていくんだろうなあ。

もちろん、その成立・運用のためには参加会社間の莫大な調整が必要にはなるだろう。

ただ、これがうまくいけば、各社ともお得意様の信用を傷つけることは無くなると思う。

ただそうなると、安売り業者の例えばD社やK社は見境なく価格競争をしかけてくるだろうが、検討の余地はあると思う。




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