小さな約束を大切に
1. 「小さな約束を大切にしろ」
事あるごとに親父が自分にいう言葉である。少し耳が痛いが(苦笑)、大切にしている言葉だ。
その約束のことを社会では契約という。
そしてそれは時に会社や従業員の生活に直結するもので、決して小さなものじゃない。
でもそれは小さな約束を守れるかどうかがベースになったりする。
2.(1)契約とは意思表示の合致。
なので原則として契約は契約書なしでも成立する。
あくまで契約書はその契約したと言う事実を示す証拠にすぎない。
この事実を知らない方が多い。
だから,例えばあるサービスにつき、当事者の一方が申し込んで、相手方がそれに対し、承諾したら契約が成立するのだが、その後に平気で撤回する方も登場する。
2.(2)例えば,夜警は直雇いや派遣は労基法上の規制があるから嫌、だから警備業者に頼んで夜警をお願いさせようと考えた施設K(以下K)の社長F(以下F)がY警備保障(以下Y)に警備・夜警の仕事を電話でお願いしたとする。
その電話の相手方である社長T(以下T)は依頼業務の内容を詳しく聞いた上でさっそく見積書を作って、Kまで行き、現場を見た上で備考すべき特段の事情がないと考え、その場でTは見積書をFに見せた。
Fは「これでいいですよ。お願いします。」と答えた。
Tはこれで契約が成立したと思ったが、この施設に送る隊員が足りないので、募集する準備期間が欲しいとFに伝えたところ、Fは「私の方も今頼んでいる業者の時間を調整する時間が欲しい」と答えたので2週間の準備期間を設けることで双方が一致した。
Tは募集する等して一生懸命人を探し、ついに、入社希望者B(以下B)を雇い、教育を終え、準備を整えた。
しかしいよいよという時にFが「すいません、せっかく契約が成立したのに御社より安い業者が現れましたので、その業者にします。」といったのでTは「あのときお願いしますといったではないか」と抗議したが、そんな事実はないの一点張りで、結局、話はご破算になった。
TはBに頭を下げて謝り、他の現場ならあるが、どうかといってもBはKに行きたかったというばかりで結局Bは退社してしまった。
Tの頑張りは無駄になってしまった…。
(3)だから、契約が成立したら、なるべくその場で互いが契約書にサインすべきだし、それが厳しいなら、契約成立確認書という形で念書を契約の相手方に提出させるのが妥当だと思う。
3.(1)でも僕は思う。短期契約やスポットならまだしも、長期契約についてまでこのように念を押してまで結ぶ意味があるのかと。
このFのような業者はたとえ契約書なり念書を交付しても、適当に屁理屈を述べた上で、あくまで隙あらば乗り換えようとするだろう。
(2)結局、契約の意味の背後には当事者の信頼関係がベースにあると思う。
特に長期の契約に及ぶ場合は、当事者双方の長いおつきあいが前提になる以上、互いに浮気をしない、真面目な気持ちがないと関係を続けるのは厳しいだろう。
とすると、結局そういう関係を多くの取引先と築くには、そういう相手を選ばないといけないとともに、そういう相手に関係を持ちたいと思わせる中身を持たないといけない。
特に警備業のような目に見えない仕事はその仕事に携わる人間の誠実さが重視される。
自分の日々のちょっとした言葉や約束に責任をもつ。やるといったらやる。できなくなったら、あらかじめ、なるべき早い段階で断りの連絡をいれ、心から詫びる。
結局、取引先との関係も人付き合いと同じだということだろう。
親父の教えにはそういう意味があるんだと思う。
自社はそういう関係を築くに足る中身を持っているだろうか。
もっていないなら、もつように中身を鍛えないといけない。
日々是精進!
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