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節分で強くなりたいと思った話

これは、私が働いている幼児教室での話。

3歳のかわいい男の子が楽しそうに走り回りながら授業を受けていた。
そしてふと、壁に反射した小さな光がチロチロ動いているのを見つけて不思議そうに私に聞いてきた。

「あれは、何?」

そこで私はちょっと冗談を言おうかなと思いつき

「あれは、妖精じゃない?」

と答えた。
その子はきょとんとして固まっていたので、あぁ、なるほど、この子にはまだ妖精の概念が無いんだなと思い

「神様かもしれないね」

と言い直してみた。
そして彼の顔を見ると全く意に介していない様で光を凝視していた。
私はすかさず

「虫だ!虫だよ!きっと!」

と言ったら彼は安心した笑顔で「うきょきょきょ」と奇声を上げながら光を叩いていた。

そうか。
ここが彼の世界のラインか。
伝わって気持ちを共有できてよかった。
すぐにおひさまの光だと訂正しておいたけど。


その後、先生から「豆まきをするので年の数だけ豆を配ります。みんな何歳ですか?」と一人一人に尋ねられていた時、彼は笑顔で

「6歳」

とサバ読んでいた。普通に。己が過ごした人生の倍の時間を申し出ていた。

さすが神様を知らない世代は違う。

恐れを知らない。


私も強く生きたい。

そう思わせてくれた節分だった。


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